令和2年7月10日作成

水稲

(担当)JA全農さいたま 営農支援課

5月上旬植コシヒカリ 幼穂形成期

5月下旬小麦後の彩のきずな 分げつ始め

全国的にも田植えが長期間に及ぶ本県では、穂ばらみ期に入った4月下旬の早期栽培から、ようやく活着した小麦あと7月上旬植まで、田んぼでは様々な生育状況の稲がみられます。7月はそれぞれの稲の生育に応じた適期・適切な管理を心掛けましょう。また、今年の夏も猛暑が予想されています。高温被害を回避するための暑さ対策も重要です。

1 気象経過と水稲の生育状況 

(1)気象経過(6月)

5月から引き続き高温に経過し、6月は平年よりも2℃高くなりました。梅雨入り後から雨の日が多く、降水量は多いですが、梅雨入り前と梅雨の晴れ間の好天で日照時間は平年並みでした。7月はこれまでのところ雨が多く、日照時間は少なくなっています。

  平均気温 降水量 日照時間
本年 平年 平年差 本年 平年 平年差 本年 平年 平年差
4月 12.6 13.6 -1.0 175.0 92.9 82.1 239.3 190.2 49.1
5月 19.7 18.2 1.5 119.5 111.8 7.7 186.9 182.0 4.9
6月 23.7 21.7 2.0 259.0 145.4 113.6 148.5 125.5 23.0
(2)水稲の生育状況

[1]早期栽培(4月末~5月上旬までの田植え)では、幼穂形成期を過ぎ穂孕み期になっています。葉色は概ね順調に低下していますが、中干しが十分実施できなかったほ場では、無効な分げつがやや多く残っています。

[2]早植栽培(5月中旬~下旬までの田植え)では、最高分げつ期に達し、中生のコシヒカリ、彩のきずな、キヌヒカリはまもなく幼穂形成期です。茎数は十分に確保できていますが、降雨日が続き、降水量も多いため中干しが十分実施できず、無効分げつ(穂にならない分げつ)がまだ多く残っている状況です。

[3]普通栽培のうち6月中旬までの田植えでは、分げつの発生盛期で有効分げつ決定期になっています。6月下旬以降の田植えでは、順調に活着し分げつが発生し始めています。

2 気象予報と生育および今後管理

(1)向こう1か月予報と3か月予報

気象庁が7月9日に発表した向こう1か月予報からは、梅雨開けまでは平年並みからやや低く、梅雨明け後から高くなると予想されます。降水量は並みからやや多く、梅雨明けまでは曇りがちな日が多く、日照時間は並みからやや少なくなりそうです。なお、梅雨明けは概ね平年並みと予想されています。

また、6月24日発表の3か月予報では、盛夏期8月、9月とも気温の高い確率50%と高温が予想され、残暑も厳しいと思われます。

(2)水稲の生育予想

[1]早期栽培では、コシヒカリは7月20日前後から出穂が始まると予想されます。

[2]早植栽培では、中生のコシヒカリ、彩のきずな、キヌヒカリが幼穂形成期で、穂肥の適期になります。また、出穂は7月30日頃からと予想されます。彩のかがやきの幼穂形成期は、7月15日~20日と予想されます。また、出穂は8月10日頃と予想されます。

[3]普通栽培では、曇雨天が続き、田植の遅いものほど葉色が出にくく、軟弱な生育が懸念されます。6月中旬植えまでのものは、品種に関わらずまもなく最高分げつ期になります。また、下旬以降の田植えのものは7月25日前後に有効分げつ決定期になります。

(3)今後の作業

[1]早期栽培では、出穂が始まってから穂ぞろいまで、水は深めに管理し、その後もできるだけ浅水で、水を切らさないようにしましょう。

[2]早植栽培では、適期の穂肥を実施しましょう。コシヒカリは幼穂8~10mm程度、彩のきずな、キヌヒカリは幼穂長2~3mm程度、彩のかがやきは1~2mmが適期です。田んぼ全体の葉色がカラースケールで3以下(個葉なら4以下)であったら、必ず窒素で2~3kg/10aの穂肥を実施しましょう。3以上のときは、数日遅らせて葉色が3以下に下がったら2kg/10a程度の穂肥を実施しましょう。

出穂までの日数を茎の芯に剃刀を入れて幼穂の長さで確認してみましょう。

[3]普通栽培の6中旬までの田植えのもので、中干しをまだ実施していないほ場は急いで開始して下さい。
6月下旬以降の田植えのものでは分げつの発生を促進するために、中干しまで浅水で管理しましょう。
なお、梅雨明け後からは高温が予想されるので過度な中干しは控え、小ヒビが入ったら終了し、穂肥まで間断潅水を行いましょう。
また、田植後の除草剤の効果が不十分でホタルイが目立つほ場が多く見られます。雑草が発生しているほ場では、中干しの時に後期剤を散布して防除を行って下さい。

(4)病害虫の発生にも注意

[1]いもち病
梅雨入り後、気温は高めで曇雨天が続いており、いもち病に感染しやすい状況になっています。例年発生しているほ場では特に注意して観察を行い、発生したら早めの防除を行いましょう。

穂いもち発生を抑えるために、葉いもちを確実に防除

[2]カメムシ
畦畔に生息するカメムシを田んぼに入れないために、出穂2週間前までに草刈りを終了し、以降出穂後2週間を過ぎるまでは休止します。

水口付近に残した苗がいもち病の発生源に

[3]イネツトムシとイネアオムシ
県病害虫防除所から発表されている発生予測では、イネツトムシ、イネアオムシともに発生が3~4日早くなっています。両害虫ともに適期の7月末に防除を行いましょう。

イネアオムシ

最初はかすり状の食痕、ひどくなると葉を食い尽くされる

イネツトムシ

葉を食害したのち苞状の巣をつくり出穂を阻害

病害虫の写真はいずれも埼玉県病害虫防除所作成「病害虫診断のポイントと防除対策」より引用