平成30年7月12日作成

水稲

(担当)JA全農さいたま 営農支援課

1 水稲の気象経過と予報及び生育状況

(1)気象経過と1か月予報

ア、気象経過
 6月の平均気温は23.1℃で平年(21.7℃)に比べ106%と高く推移しました。
降水量は111.5mmで平年145.4mmの77%の降水量でした。そのため日照時間は204.2時間と平年の125.5時間、163%と多く、水稲にとって好条件となりました。

5~6月の平均気温・降水量(熊谷地方気象台)

  5月 6月 7月上旬
30年平均気温℃ 19.8 23.1 26.8
平年気温 ℃ 18.2 21.7 23.9
平年比 % 109 106 112
30年降水量mm 125.5 111.5 31.0
平年降水量mm 111.8 145.4 60.9
平年比 % 112 77 51

イ、向こう1か月予報
 気象庁発表による関東甲信地方の1か月予報(7月14日~8月13日)では、気温は高い確率が70%、降水量は平年並み、少ないが共に40%、日照時間は平年並が30%、多いの確率 が40%と予想されました。

(2)生育状況

ア、早期栽培
 5月上旬植の水稲では(田植後60日前後)中干しも終了し、早い地域では幼穂形成期に入っています。生育の進捗状況は昨年とほぼ同様に平年に比べ早まっています。

イ、早植栽培
 生育の初期から気温が高く、日照時間も多かったことから分げつが順調で生育は旺盛です。現在は中干し実施時期となっています。

ウ、普通期栽培
 田植後の気温、日照とも十分であり、有効茎数決定期~現在最高分げつ期に入っています。

2 今後の管理

(1)水管理

ア、早期栽培
高温による白未熟粒の発生を抑制するために、穂ばらみ期までは間断灌水を実施し、無効茎の抑制と根の活性の維持に努めます。

イ、早植栽培
移植後30日を目安に、有効茎は7日程度として、「小ヒビ」が入るくらいが最良です。有効茎を確保したほ場から中干しを実施し、生育状況を確認し、遅れないように注意しましょう。

ウ、普通栽培
移植後中生品種で25日頃、晩生品種で30日頃を目安に、有効茎を確保したほ場から中干しを実施します。生育状況を確認し、遅れないように注意しましょう。中干しは7日程度として、「小ヒビ」が入るくらいが最良です。

エ、麦後栽培
分げつ始期~盛期の生育です。浅水管理で太いしっかりした分げつを確保しましょう。

(2)雑草防除(中期除草剤の利用)

雑草が多発したほ場では、草種に合せた除草剤(中期・後期剤)の適期散布を行いましょう。

ア、ノビエの取り残し対策
 初期剤等で処理したにもかかわらず、何らかの要因でヒエが発生してしまったら中期剤としてクリンチャ-1キロ粒剤、ヒエクリーン1キロ粒剤やクリンチャーEWの効果があります。ノビエの葉齢を確認し散布しましょう。

イ、広葉雑草や多年生雑草発生対策(イネ科雑草含む)
 ヒエ類や広葉雑草の発生が見られたら、サンパンチ1キロ粒剤、ザーベックスSM1キロ粒剤、マメットSM1キロ粒剤、クミメートSMやクリンチャーバスMEが有効でしょう。使用時期等を確認し使用して下さい。

ウ、広葉雑草、多年生雑草発生対策
 マツバイやホタルイ、オモダカやクログワイ等の雑草が発生した水田では、バサグラン粒剤や液剤が効果的です。

エ、最近問題になっているクログワイ除草対策
 全農では初中期一発剤のエーワン、コメット、バッチリ、ボデーガード等の初中期一発剤を処理した後、中期剤として、バサグラン粒・液剤による対策を提案しております。

※薬剤の使用に当たってはラベル等の取り扱い説明書を確認してください。

(3)穂肥

ア、早期栽培
 生育診断結果に基づいて、コシヒカリでは出穂15~18日前、彩のきずなや彩のかがやきでは出穂20~25日前に施用を行いましょう。高温下で稲体の窒素不足は、乳白粒等を増加させるので、葉色診断を行い葉色値4以上の確保をしましょう。生産ほ場の葉色は大方3もしくは3以下の数値となっています。窒素2~2.5kg/10aの施肥が必要と思われます。

イ、早植栽培・普通栽培
 早植栽培では早期栽培同様に8月上中旬の高温期の出穂から登熟前期を過ごします。このことから乳白米や腹白、背白、基白米などが発生し易い条件です。今年の8月は特に危険と言われていますので、しっかり穂肥を実施し高温障害を軽減させます。特に彩のかがやきは 要注意とされています。以下は埼玉県高温対策資料より転記しました。
穂肥[1]・出穂前22~23日頃(幼穂長1~2mmに達した時期)に葉色を確認する。葉色が4以下の場合は、窒素成分で10a当たり3Kg限度に追肥を行う。葉色が4以上の場合は低下するまで施用時期を遅らせ、施用量を2Kg程度に減ずる。もし出穂前10日になっても4以上の場合は追肥を行わない。
穂肥[2]・出穂前10日頃に葉色を確認し、4以下の場合は2Kg程度を追加施用する。もし 穂肥[1]施用時の葉色が著しく低い場合(3以下)は穂肥[2]の時期を早め出穂前15日頃に葉色を確認し、4以下の場合は2Kg程度を追加施用する。

彩のかがやき平年での出穂期の目安

田植日 穂肥施用時期 出穂期予定時期 収穫時期の目安
5月20日 7月21日~7月22日 8月12日~8月14日 9月17日~9月30日
5月25日 7月23日~7月24日 8月14日~8月16日 9月21日~10月5日
6月1日 7月24日~7月25日 8月16日~8月18日 9月24日~10月10日
6月5日 7月25日~7月26日 8月18日~8月20日 9月29日~10月15日
6月10日 7月26日~7月27日 8月20日~8月21日 10月2日~10月18日
6月15日 7月28日~7月29日 8月22日~8月23日 10月5日~10月20日
6月20日 7月30日~7月31日 8月24日~8月25日 10月7日~10月22日

※出穂期は気象条件によって予定日から2日程度前後することがある。

※収穫期間のめやすは気象条件等によって1週間程度前後することがある。

(4)病害虫防除

ア、いもち病
 本病害は、気温20~25℃で湿度の高い日が続くと発生します。雨が多く日照不足の時や窒素過多によりイネが軟弱になると抵抗力が弱められ感染し易くなります。昨年は、県内各地で発生がみられ、本年も多発が懸念されています。初期の病斑を見つけたら、薬剤で防除します。投げ込み式のパック剤を用いると、省力的に防除が行えます。
なお、置き苗は本病の発生源となるので、速やかに水田から持ち出し、埋めるなどして適切に処分してください。

イ、イネアオムシ(フタオミコヤガ幼虫)  写真提供 : HP埼玉の農作物病害虫写真集

8月に発生する幼虫の被害が最大となり大きな被害になります。そのため、カスリ状の食害痕を認めたら、放置せず7月中に適切な防除をしましょう。

ウ、イネツトムシ(イチモンジセセリ幼虫)  写真提供 : HP埼玉の農作物病害虫写真集

7月下旬から発生する第2世代幼虫は、6月移植のイネで多発し大きな被害を生じます。昨年発生した地域やほ場や多肥栽培のイネなど葉色が濃いイネは特に注意してください。