平成30年4月6日作成

水稲

(担当)JA全農さいたま 営農支援課

本年3月より平年を越える高い気温が続いています。気象庁の1か月予報でも、これから5月にかけて気温の高い日が続くと予報されました。このため高温下での苗作りとなります。
病害や軟弱徒長苗の発生が無いよう育苗管理に注意してください。

1.気象庁1か月予報

気象庁の関東甲信地方の1か月予報(4月7日~5月6日)では、気温は高い確率が50%。降水量は多い・平年並みがともに40%、日照は少ない確率が50%となっています。
曇雨天が多く、気温の高い日が続く予想となっています。

1、水稲の播種・育苗

(1)水稲の育苗

種子伝染性病害として主なものは、[1]ばか苗病、[2]稲熱病、[3]籾枯細菌病があります。同じく害虫では、[4]イネシンガレセンチュウがありますので、必ず種子消毒を行い発芽障害や生育障害を未然に防ぎましょう。

ア、種子消毒

(ア)薬剤による消毒例
●ヘルシードTフロアブル又はテクリードCフロアブル200倍
●スミチオン乳剤 1000倍
・籾10kg=水20L=殺菌剤100cc=スミチオン乳20cc
・上記薬液に24時間浸漬、水洗いせず水に浸漬し催芽に入るか陰干し後保管。

(イ)温湯消毒法
温度60℃の温水に10分浸漬し、直ちに冷水で冷やす。乾燥後保管又は水に浸漬し催芽に入る。

イ、催芽

 籾の発芽には水分の吸収が必要です。乾燥した種籾の水分は13%~13.5%程が多く、発芽には24~25%に水分を吸収させる必要があります。この吸水時間は積算温度で100℃が一つの目安となっています(穂発芽性難では長く、同易では短くと品種によって多少前後します)。
 15℃の水温でほぼ7日間=100℃で発芽(上記写真)
 注)今年の気温は高く、従って水温も高くなりやすいので積算温度には十分注意して、出芽が早くなりすぎないように注意してください。

ウ、播種

(ア)床土調整

[1]床土の条件は土壌の酸度(以下PH)である。育苗に適したPHは塩化カリ抽出法で4.5~5.5の範囲。

[2]施肥量は早期・早植用の稚苗では1箱当たりN2g程度から1.5g程度、中苗では設置床からの窒素吸収があるので1箱当たり0.3~0.6g程度

[3]床土量は1箱当たり4リットル程度、稚苗で10a当たり20箱の育苗では80リットル、中苗30箱育苗では120リットルの土を要する。

[4]床土消毒はタチガレエースM等の薬剤を苗立枯病対策として床土肥料と同時に土壌混和しておく。

(イ)1箱播種量と手順

稚苗 乾籾170g(催芽籾200g)10a当たり18~20枚
中苗 乾籾100g(催芽籾120g)10a当たり25~30枚

[1]苗箱に新聞紙を敷く。[2]土をいれ均し板で均一にする(厚さ15mm)[3]タップリ(新聞にしみてくるまで)潅水する。[4]種子を計量し、播種する。[5]覆土、(箱上端5ミリ程空ける。)[6]箱からの滴りが無くなったら箱を積み重ねる。

(ウ)出芽及び育苗温度・水管理理

 早期・早植栽培での育苗期間は気温の変動が大きく、温度管理には十分注意しましょう。
 ハウス内やトンネル内の日中温度が30℃までを目安とします。それ以上の高温になりますとリゾープス菌等による立枯病の発生や出芽不良の原因になります。さらに高温育苗と加湿管理は軟弱徒長になるほかに、ムレ苗(本葉第2葉が展開せず、コヨリのようになり枯れてくる症状)の発生原因となるので、温度管理には注意してください。

(エ)苗の緑化と硬化の温度管理

[1]緑化    1~2cm白い芽(鞘葉)が床土から出たら、苗床に広げ、不完全葉抽出~暗闇から急激に強光を当てると葉が白化するのを寒冷紗等で遮光する作業。保温資材で保温昼の外気温は25℃、夜間は20℃。高温若しくは低温と過潅水は、病害・障害の元。期間は3日~5日間程度 ※日中の高温に注意

[2]硬化前期 緑化開始から第一本葉が抽出したら硬化に入る。期間は5~7日程度。昼間は気温25℃、夜間は15℃を確保する。潅水は乾いたら行う程度でよく、毎日必ず潅水する必要はありません。

[3]硬化後期 移植7日~10日前の期間で、本葉2.5葉期まで。昼間は20℃、夜間は15℃で管理し、徐々に外気温にならします。

(2)育苗時の主な病害

ア.白化苗:強い直射日光に当てると葉の葉緑素が少ない淡い緑となる。

イ.ムレ苗:水が充分あっても葉が展開せず、徐々に苗が枯れてくる。ムレ苗防止にはタチガレン液・粉、フジワン粒剤の登録がある。

ウ.フザリウム菌による立ち枯れ、地際部の茎や根が褐変し枯死する。籾の周辺には紅色の菌がある。タチガレン液剤が登録されている。

エ.ピシウム菌による立ち枯れ、硬化中~後期に急激に萎ちょう枯死する。早い時期に発生すると、出芽が極めて悪く坪枯れ状になる。地際部にカビが見られない。タチガレン液剤が登録されている。

オ.リゾープス菌による立ち枯れ、出芽時に高温多湿条件で急激に床土表面に白いカビが蔓延し籾は出芽できない。育苗初期でも生育不良から枯死してくる。薬剤はダコニール1000の登録がある。

カ.リゾクトニアによる立ち枯れ、多湿で通風が悪い(過繁茂や密播)条件で発生。中央に黄化萎凋する。地際部から白い菌糸が発生。バリダシン液剤5が登録されている。

キ.白絹病菌による立ち枯れ、高温多湿により発生。リゾクトニア菌のように白い菌糸が茎を覆う、苗の間に灰色の菌核を形成する。バリダシン液剤5が登録されている。