平成29年4月14日作成

麦類・水稲

(担当)JA全農さいたま 営農支援課

関東甲信地方1か月予報(4月8日から5月7日までの天候見通し)

4月6日気象庁発表によれば、天気は数日の周期で変わりますが、平年に比べ晴れの日が少ない見込みです。向こう1か月の平均気温は、平年並または高い確率ともに40%です。降水量は、平年並または多い確率ともに40%です。日照時間は、平年並または少ない確率ともに40%です。

週別の気温は、1週目は、平年並または高い確率ともに40%です。2週目は、平年並の確率50%です。3~4週目は、平年並または高い確率ともに40%です。農作物の管理については病害や湿害の発生を未然に防ぐよう各種対策を講じてください。

1、麦類

熊谷地方の11月10日前後に播種されたビール麦の出穂期は4月2日頃、穂揃期は4月7日頃でした。これは平成27年とほぼ同時期となっています。

このことから小麦についても27年と同時期の生育と思われます。11月20日~25日に播種された小麦の出穂始めは4月17日頃で出穂期は4月20日~25日の間に出穂期を迎えたほ場が多かったようです。

赤カビ病防除時期の判断の一つとしてビール麦の収穫は5月25日前後から、小麦では6月10日頃からが予想されますので小麦からビール麦へのドリフトと残留に十分注意してください。

(1)赤カビ病防除

 出穂期が温暖で降雨が続いた場合、赤カビ病の発生が懸念されます。本年産の生育状況を把握し、下記[3]に基づき防除計画を立てておきましょう。
防除に当たっては近隣作物に付着しないように風向きや散布方法(ノズル等)を考えて防除を実施してください。
(今後の発生情報については埼玉県病害虫防除所の情報を参考にしてください。)

[1]罹病した大麦・小麦   HP埼玉の農作物病害虫写真集より

ビール麦の赤かび病
  コムギ赤かび病

空気伝染で飛来した胞子は穎の気孔などから侵入して小穂を侵します。ムギの穂に生ずる桃色のカビは、分生胞子の集団で降雨後分散して二次伝染します。病菌の生育適温は24~27℃で、胞子形成、発芽、宿主侵入には数日間、高い湿度が必要です。特に、胞子飛散は降雨によって促進されます。

[2]赤かびの毒性   嘔吐・下痢、出血、免疫毒性

毒素 は Deoxynivalenol(デオキシニバレノール) = 略してDON
毒素 1.1PPm以下   穀粒混入率  0.0%

[3]薬剤散布時期

麦類、特に大麦は毒性のある赤カビ病に感染し易い特性があります。ビール麦の防除時期は、穂揃期の10日後を目安に、六条大麦では穂揃期に、小麦では出穂始めから7~10日後を目安に赤カビ病防除を必ず行ってください。小麦や六条大麦で第1回目の防除後も降雨が続いた場合は開花10日後に追加防除を行ってください。

麦種 薬剤名 系統 希釈倍数 使用時期 使用回数
麦類(小麦を除く) ストロビーフロアブル ストロビルリン 2,000~3,000倍 収穫14日前まで 3回以内
小麦 ストロビーフロアブル ストロビルリン 2,000~3,000倍 収穫14日前まで 3回以内
麦類(小麦を除く) トップジンM水和剤 ベンズイミダゾール 1,000~1,500倍 収穫30日前まで 3回以内
小麦 トップジンM水和剤 ベンズイミダゾール 1,000~1,500倍 収穫14日前まで 3回以内
※※
麦類(小麦を除く) トップジンMゾル ベンズイミダゾール 1,500倍
8倍(無人ヘリ登録)
収穫14日前まで
収穫21日前まで
3回以内
小麦 トップジンMゾル ベンズイミダゾール 1,000~1,500倍
8倍(無人ヘリ登録)
収穫14日前まで
収穫14日前まで
3回以内
※※

小麦散布時での大麦へのドリフトに要注意。※出穂期以降1回以内、※※出穂期以降は2回以内

*散布前にラベルをよく確認しましょう。

(2)作業機の掃除とメンテナンス

ア、水稲収穫に使用したコンバインや乾燥機内の水稲籾を除去しておきます。
 特に各機械内のオーガ部分や昇降機内等を念入りに行ってください。

イ、コンバインの刈歯部分や麦脱穀の送りチエーン等の負荷のかかる駆動部分は過度の緩みが無いか点検するとともに、機械油やグリスなど使用点検書に沿って給油しておきましょう。

ウ、作業所内の清掃も念入りに行い、ネズミ等の異物混入が無いようにしてください。

2、水稲の播種・育苗

(1)水稲の育苗

種子伝染性病害として主なものは[1]ばか苗病、[2]稲熱病、[3]籾枯細菌病があります。同じく害虫では[4]イネシンガレセンチュウがりますので、必ず種子消毒を行い発芽障害や生育障害を未然に防ぎましょう。

ア、種子消毒

(ア)薬剤による消毒例
●ヘルシードTフロアブル又はテクリードCフロアブル200倍
●スミチオン乳剤 1000倍
籾10kg=水20L=殺菌剤100cc=スミチオン乳剤 20cc
上記薬液に24時間浸漬、水洗いせず水に浸漬し催芽に入るか陰干し後保管。

(イ)温湯消毒法
温度60℃の温水に10分浸漬し、直ちに冷水で冷やす。乾燥後保管又は水に浸漬し催芽に入る。

イ、催芽

 籾の発芽には水分の吸収が必要です。乾燥した種籾の水分は13%以下になっている場合が多く、発芽には24~25%に水分を吸収させる必要があります。この吸水発芽には積算温度で100℃が目安となっています。(品種によって多少前後します。)
15℃の水温でほぼ7日間=100℃で発芽(上記写真)

ウ、播種

(ア)床土調整

[1]床土の条件は土壌の酸度(以下PH)である。育苗に適したPHは塩化カリ抽出法で4.5~5.5の範囲。

[2]施肥量は早期・早植用の稚苗では1箱当たりN2g程度から1.5g程度、中苗では設置
床からの窒素吸収があるので1箱当たり0.3~0.6g程度

[3]床土量は1箱当たり4リットル程度、稚苗で10a当たり20箱の育苗では80リットル、中苗30箱育苗では120リットルの土を要する。

[4]床土消毒はタチガレエースM等の薬剤を苗立枯病対策として床土肥料と同時に土壌混和しておく。

(イ)1箱播種量と手順

稚苗 乾籾170g(催芽籾200g)10a当たり18~20枚
中苗 乾籾100g(催芽籾120g)10a当たり25~30枚

[1]苗箱に新聞紙を敷く。[2]土をいれ均し板で均一にする(厚さ15mm)[3]タップリ(新聞にしみてくるまで)潅水する。[4]種子を計量し、播種する。[5]覆土、(箱上端5ミリ程空ける。)[6]箱からの滴りが無くなったら箱を積み重ねる。

(ウ)出芽及び育苗温度・水管理

 早期・早植栽培での育苗期間は気温の変動が大きく温度管理には十分注意しましょう。ハウス内やトンネル内の日中温度が30℃までを目安とします。それ以上の高温になりますとリゾープス菌等による立枯病の発生や出芽不良の原因になります。さらに高温育苗と加湿管理は軟弱徒長になるほかにムレ苗(本葉第2葉が展開せずコヨリのようになり枯れてくる症状)の発生原因となるので温度管理には注意してください。

(エ)苗の緑化と硬化の温度管理

[1]緑化    1~2cm白い芽(鞘葉)が床土から出たら、苗床に広げ、不完全葉抽出~。
暗闇から急激に強光を当てると葉が白化するの寒冷紗等で遮光する作業。
保温資材で保温昼の外気温は25℃、夜間は20℃。高温若しくは低温と過潅水は病害・障害の元。期間は3日~5日間程度 ※日中の高温に注意

[2]硬化前期 緑化開始から第一本葉が抽出ししたら硬化に入る。期間は5~7日程度。
昼間は気温25℃、夜間は15℃を確保する。潅水は乾いたら行う程度出よく、毎日必ず潅水する必要はない。

[3]硬化後期 移植7日~10日前の期間で本葉2.5葉期まで。昼間は20℃、夜間15℃で管理し、徐々に外気温にならす。

(2)育苗時の主な病害

ア、白化苗 強い直射日光に当てると葉の葉緑素が少ない淡い緑となる。(遺伝的な個体発現とは異なる。)

イ、ムレ苗 水が充分あっても葉が展開せず、徐々に苗が枯れてくる。ムレ苗防止にはタチガレン液・粉、フジワン粒の登録がある。

ウ、フザリウム菌による立ち枯れ、地際部の茎や根が褐変し枯死する。籾の周辺には紅色の菌塊がある。タチガレン液剤が登録されている。

エ、ピシウム菌による立ち枯れ、硬化中~後期に急激に萎ちょう枯死する。早い時期に発生すると、出芽が極めて悪く坪枯れ状になる。地際部にカビが見られない。タチガレン液剤が登録されている。

オ、リゾープス菌による立ち枯れ、出芽時に高温多湿条件で急激に床土表面に白いカビが蔓延し籾は出芽できない。育苗初期でも生育不良から枯死してくる。薬剤はダコニール1000の登録がある。

カ、リゾクトニアによる立ち枯れ、多湿で通風が悪い(過繁茂や密播)条件で発生。中央に黄化萎凋する。地際部から白い菌糸が発生。バリダシン液剤5が登録されている。

キ、白絹病菌による立ち枯れ、高温多湿により発生。リゾクトニア菌のように白い菌糸が茎を覆う苗の間に灰色の菌核を形成する。バリダシン液剤5が登録されている。