平成28年12月28日作成

園芸情報

(担当)JA全農さいたま 営農支援課

「キュウリ菌核病防除」について

この病気は、茎や葉などに発病しますが、特に被害を受けやすいのは果実です。
果実の発病は花落ち部分から始まり、白色綿状毛状のかびで覆われた後、黒色の菌核を作ります。
茎では節の部分から発病します。17℃前後で、多湿条件が続くと発生が多くなりますので、夜間の温度設定を高めにし、湿度が低くなるようにしましょう。発病した果実や茎葉を発見したときには、菌核を作る前に処分してください。越冬栽培での発生時期は12~2月中旬ですので、その時期を中心に薬剤防除を行いましょう。

キュウリの菌核病防除薬剤例         (使用基準は平成28年11月16日現在)

薬剤名 系統 希釈倍数・使用量 使用時期 使用回数
ロブラール水和剤 ジカルボキシイミド 1,000倍 収穫前日まで 4回以内
スミブレンド水和剤 N-フェニルカーバメート 1,500倍 収穫前日まで 5回以内
ジカルボキシイミド
ゲッター水和剤 N-フェニルカーバメート 1,500倍 収穫前日まで 5回以内
ベンゾイミダゾール
ファンベル顆粒水和剤 グアニジン 1,000倍 収穫前日まで 3回以内
オキシムエーテル
アミスター20フロアブル ストロビルリン 1,500倍 収穫前日まで 4回以内
アフェットフロアブル チオフェン 2,000倍 収穫前日まで 3回以内
カンタスドライフロアブル カルボキアミド 1,000~1,500倍 収穫前日まで 3回以内
セイビアーフロアブル20 フェニルピロール 1,000~1,500倍 収穫前日まで 3回以内

※農薬はラベル等で適用内容、注意事項を必ず確認の上、有効成分毎の使用回数にも注意して使用してください。

「トマト疫病」防除について

この病気は、糸状菌(カビ)によって引き起こされ、被害として葉では、はじめ灰緑色水浸状の病斑を生じ、次第に拡大し暗褐色の大型病斑となります。茎では、水浸状の暗褐色の病斑を生じ、多湿時には白いカビを生じます。病斑が茎をとり巻くとその上部は萎ちょうして枯死します。果実では幼果や未熟果が侵され腐敗します。生育適温は20℃で、施設の促成栽培では12月~2月、半促成栽培では3~5月に発生が多くなります。防除対策としては、施設内の換気を良好にして、灌水量を少なめにすることが大切です。発生が認められたら直ちに薬剤散布を行いましょう。

トマト疫病防除薬剤例             (使用基準は平成28年11月16日現在)

薬剤名 系統 希釈倍数・使用量 使用時期 使用回数
ライメイフロアブル その他 2,000~4,000倍 収穫前日まで 4回以内
ランマンフロアブル シアノイミダゾール 1,000~2,000倍 収穫前日まで 4回以内
リドミルゴールドMZ水和剤 フェニルアマイド 1,000倍 収穫前日まで 2回以内
有機硫黄
プロポーズ顆粒水和剤 アミノ酸アミドカーバメート 1,000~1,500倍 収穫前日まで 3回以内
有機塩素
ホライズンドライフロアブル オキサゾリジンジオン 1,500~2,500倍 収穫前日まで 3回以内
シアノアセトアミド

「ホウレンソウのケナガコナダニ」防除について

最近、ホウレンソウの秋~冬期のハウス栽培やトンネル栽培では、ホウレンソウケナガコナダニの被害が発生しています。

この害虫は、土壌中に生息しており、ホウレンソウが播種された後、土壌水分が増え高湿となった場合に増殖して新葉を加害します。加害された葉は、展開するとともに、こぶ状の小突起が生じ、光沢を帯びて縮葉し奇形となります。また、中心の葉は小さな穴があき、その周辺は褐変して商品価値が無くなります。加害が激しい場合は、株の生育が抑制され、中心の葉は芯止まりとなります。土壌中の収穫残渣や未分解の有機物が発生源になると考えられるので、残渣はほ場外に片付けましょう。

ホウレンソウケナガコナダニ防除薬剤例    (使用基準は平成28年11月16日現在)

薬剤名 系統 希釈倍数・使用量 使用時期 使用回数
アファーム乳剤 マクロライド 2,000倍 収穫3日前まで 2回以内
カスケード乳剤 IGR 4,000倍 収穫3日前まで 3回以内
ネマモール粒剤30
  ※コナダニ類で登録
その他 30kg/10a は種前まで 1回

※農薬はラベル等で適用内容、注意事項を必ず確認の上、使用してください

冬期におけるナシの病害対策について

落葉が進み、果樹類の剪定時期になりました。これから行う落ち葉の処分や罹病枝の切除は、病害防除のために有効な対策です。翌年の被害軽減のため管理を徹底しましょう。

1.ナシの黒星病

本病原菌は、被害葉上(落ち葉を含む)に胞子を形成するほか、枝には丸く、周囲が盛り上がった病斑を生じます。

これら落ち葉や枝の病斑、葉の鱗片に付着した胞子が伝染源になります。そのため落ち葉や剪定枝は、園外で適切に処分して越冬伝染源の密度を低下させることが重要です。

2.ナシの輪紋病及び胴枯病

輪紋病菌は、枝に生じた「いぼ状」の病斑で越冬します。2~5年生の枝の病斑上では、数年にわたって胞子が形成されます。
胴枯病菌は、剪定痕など枝の切り口から侵入しますが、樹皮の皮目や小さな枯れ込みからも侵入するとがあります。若い枝では、はじめ水浸状、暗褐色の病斑が広がり、後に枯れて陥没し赤褐色の病斑となります。病斑と健全部の境には亀裂が生じ、境界が明瞭となります。どちらの病害も、病斑部分に胞子が形成され伝染源となりますので、剪定時に罹病枝を必ず取り除いてください。剪定できない太い枝の病斑は発病部と健全部の境界部分から削り取ります。このときに境界部では木質部に達しない程度に浅く削ってから薬剤を塗布します。剪定の傷口も同様に薬剤を処理します。

(使用基準は平成28年11月16日現在)

対象病害 薬剤名 系統 希釈倍数 使用時期 使用回数
輪紋病
胴枯病
トップジンMペースト ベンズイミダゾール 原液 剪定整枝時及び病患部削り取り直後 3回以内
胴枯病 バッチレート 有機銅 原液 剪定時及び病患部削り取り直後 3回以内

※農薬はラベル等で適用内容、注意事項を必ず確認の上、使用してください。

◎この資料に記載している農薬情報は、その内容を保証するものではありません。農薬の使用に当っては、ラベルの記載内容を必ず守って使用してください。剤の使用回数、成分毎の総使用回数、使用量および希釈倍数は使用の都度確認してください。使用方法、注意事項についても確認してください。

施設園芸の省エネルギー対策

施設園芸において冬季の暖房は不可欠なものとなっています。暖房の熱源として利用するものの多くは、A重油など化石燃料です。

化石燃料は、地球温暖化の一因となっています。また近年の燃料高騰は経営コストを押し上げています。省コスト化を実現することは、経営を安定させることにも繋がり重要な事項となります。

そこで、省エネの基本技術を以下のとおりまとめましたので、栽培管理の参考にしてください。

1 施設・機器の整備

 (1)ガラス温室、ビニールハウス等の気密性保持のための点検・整備を行います。

 (2)内張の多層化(2~3層カーテン)を図ります。
資材としては、保温性の高い資材を選択することが効果的です。
効率については下記の表を参考にしてください。
カーテン等は気密性を高めるため破れやカーテンの合わせ目等の隙間を無くすことが大切です。

 (3)出入口部分にフイルムを張り、出入時の外からの冷気侵入を防ぐと効果的です。
特に出入口に中間気候室を設置するとさらに効果的となります。

 (4)暖房機の点検・整備、清掃により燃焼効率を高めます。
ボイラー燃焼室のスス掃除とともに缶体のスクリュープレートの汚れをワイヤブラシなどで落とすことが大切です。また、バーナーノズルの清掃と定期的な交換を行うことも省エネにつながります。

2 栽培管理上の注意

 (1)ハウス内温度の均一化
 各作物ともに適正な温度設定に注意し、ハウス内の温度を均一化させるため、循環扇の設置や送風ダクトの適正配置を行います。暖房機の送風ファンを空回しするタイマーを取り付けることによって循環扇の役割を果たすことができます。
 循環扇等で施設内に空気の流れを起こすことは、作物の濡れを少なくすることから病害の発生を抑えることにもなります。

野菜の生育適温
種類 昼間適温 夜間適温 地温適温
  (℃) (℃) (℃)
キュウリ 25~28 10~15 18~20
トマト 25~28 8~13 15~18
ナス 25~28 13~18 18~20
イチゴ 18~25 7~10 15~18
ホウレンソウ 8~25 5~ 8 12~16
レタス 18~25 5~10 15~18
花きの冬期標準管理温度
種類 昼間気温 夜間気温 備考
  (℃) (℃)  
チュ-リップ 25以下 13~14 作型により異なる 夜間気温を下げる例あり
ユリ(アジアティック) 25以下 8~13 作型により異なる
ユリ(オリエンタル) 25以下 12~15  
ユリ(テッポウ) 25以下 12~14  
キク 25以下 14~18  
バラ 23~25 10~15  
アルストロメリア 25以下 5~10  
宿根(カスミソウ) 22以下 8~10

作型・品種により異なる

プリムラ(オブコニカ) 20以下 8~12

草丈10㎝迄は夜間気温15℃

プリムラ(ポリアンタ) 25以下 5~ 8  
プリムラ(マラコイデス) 20以下 10  
ペラルゴニウム 25以下 10~12

12~1月出荷・春出しは夜間気温5℃

シクラメン 25以下 10~12  
シネラリア(サイネリア ) 20以下 5~ 8  
ポインセチア 25以下 16  

 (2) 変夜温管理の徹底
 日没から4~6時間の前夜半とそれ以降後夜半で温度管理を密に行い、効率的温度管理をおこなう。

主な施設野菜の生育適温及び限界温度
種類 昼間気温(℃) 夜間気温(℃)
最高限界 適温 適温 最低限界
キュウリ 35 25~28 10~15
ナス 38 25~28 13~18
トマト 35 25~28 8~13
イチゴ 30 18~25 7~10

※多段サーモの設置は有効である。

降雪に対する農業施設の技術対策について

○2014年2月14日~15日の降雪は、熊谷で62cmの積雪を記録しました。多くの農業用施設の倒壊等の被害があり、その復旧には多くの時間が費やされました。そして毎年、2月以降は関東地方平野部でも大雪の可能性が高くなりますので注意が必要です。
○積雪に耐えうる補強は、台風などの被害も軽減しますので、取り組みが重要となります。
○この大雪で被害を免れ施設も、歪みや損傷を受けていることが考えられ、今後、少ない積雪でも被害を受ける可能性もありますので、注意が必要です。
○降雪被害防止のポイントを記述しますので、参考にしてください。

○間口6m、パイプ径25.4mm、肉厚1.2mm、軒高1.7m、アーチスパン45cmの基準ハウスで積雪20cmまで耐えうるとされています。しかし下記のように条件が変われば、耐雪強度は変化してゆきますので、注意が必要です。
軒高は10cm高くなると耐雪強度は1㎏/㎡低下します。
アーチスパンは広くなると弱くなり、50cmにすると2㎏/㎡低下します。
パイプの太さは細くなれば減少します。口径19mmで60%減、22mmで35%減になります。
パイプの肉厚は0.8mmで30%減、1mmで15%減になります。

(日本施設園芸協会資料より引用)
○今回再建したハウスも強度面では大雪に耐えることができませんので、何らかの対策が必要になります。

1.パイプハウスの雪害防止対策

(1)パイプハウスは、骨材の関係等から少ない積雪でも被害を受けやすいものとなっています。特に連棟とした場合は、谷部に雪が堆積しやすく、被害をなお一層受けやすくなります。谷部にたまった融雪水を排除しやすく樋に傾斜を付けたり、乗って除雪できるよう補強することも大切です。

(2)栽培は始まってからでは、補強にも限度がありますが、筋交いを増設したり、ブレース、水平ばり、方杖等を設置して補強しましょう。台風被害が多い高知県などでは太いパイプで補強したハウスが増えつつあります。

(3)遮光や害虫侵入防止のために外部に張った寒冷紗等の資材は、雪が積もりやすくなりますので、早めに撤去しましょう。

(4)緊急的な補強として、パイプ、竹、ロープなどを使って中柱にしたり、ロープを使い屋根部の両肩部を水平ばりとすることにより、屋根の沈み込みを防ぎ雪滑を促すことができます。水平ばりはワイヤーを使い栽培作物を吊るす設備を兼ねることもできます。水平ばりの間隔は2m、中柱は3mくらいに設置します。

(5)補助暖房の利用も考えましょう。石油ストーブ、ガスコンロ、ローソクなどを設置して融雪を促進し、被害を軽減した事例が知られています。ただし、ハウス内は一酸化炭素濃度が高まりますので、入室時のガス中毒には注意が必要です。

(6)最終的にいろいろなことを実施しても、被害を受けてしまうような積雪が続く場合は、ハウスを守るために被覆資材を切って、雪をハウス内に落とすことを考えなければなりません。栽培作物はダメになりますが、ハウスさえ残れば、また営農を再開できます。昭和40年代に同様の大雪があった時、このような処置で残ったハウスがあったことは事実です。

写真は方杖(逆V字型のパイプ)筋交いカーテン張りのワイヤーを使った水平ばり

2.作業時の注意事項

(1)作業の安全確保
降雪や積雪の対策を行う場合は、作業者の安全確保が重要です。ハウスの屋根に積雪がある場合は、倒壊の恐れがあるため、施設内に入らないようにしましょう。特に耐用年数を過ぎたハウスは注意が必要です。

(2)その他の対策

・暖房機のあるハウスでは、暖房機の点検と燃油残量を確認し、燃料を満タンにしておくことが必要です。
・ヒートポンプは室外機が雪に埋まると機能しなくなるため、雪に埋まらないよう対策しましょう。
・融雪水が施設内に入らないよう、排水溝を設置しましょう。
・加温設備のあるハウスでは、カーテンを開け、暖房機を運転してハウス内の暖気を拡散し融雪を促します。
・加温設備のないハウスでは、カーテンを開放し、地熱の放射により融雪を促します。
・雪が積もったら、すみやかに雪下ろしや除雪を行いましょう。
・ハウスサイドの積雪が多くなると、屋根の雪とつながり、雪が落ちなくなるため、ハウスサイドの除雪を行いましょう。
・積雪が偏ると、荷重バランスが崩れ、倒壊の危険が増すため、ハウスの両側を均等に除雪しましょう。
・除雪の際には、電気配線や燃料の配管を傷つけないよう注意しましょう。
・散水による融雪は、降雪時は逆効果ですのでやめましょう。

3.降雪前の点検ポイント

施設の点検は、確認場所が多いため下記のようなチェックリストを利用することをお勧めします。

4.園芸施設共済の利用

園芸施設は、農業共済組合によって共済制度が整っています。多くの自然災害や火災等に対応しています。(老朽化した施設や管理不十分の場合対象外や補償金の減額あり)注意が必要です。補償期間は1年で、補償割合は50%から80%の範囲で選択できることになっています。掛け金は国が半分負担し、さらに税金控除の対象になっています。詳しくは、各農業共済組合へお問い合わせください。