平成28年8月2日作成

秋野菜の栽培ポイント

(担当)全農埼玉県本部 営農支援課

(写真)

秋野菜は気象変動の大きな時期に栽培されるため、台風や長雨、そして病害虫対策等が必要になります。本格的な秋野菜の栽培時期を迎え、品質のよい野菜を作るためのポイントを把握して、高品質な野菜生産を目指しましょう。

1  土つくり

土性の違いは、作物の生育に影響します。沖積土壌は根菜類にとっては肥大しにくい固い土ですが、保肥力が高いことからネギや果菜類の生産量を高く支えたり冬場にも生育を続けるような持続性がある土壌です。

火山灰土壌は根菜類や葉菜類に適していますが持続性に欠ける面を持っています。これらの問題点を回避するために土つくりが重要となります。

具体的には、沖積土壌は弾丸暗渠や耕盤の破砕を行うとともに透水性を良くして土壌を膨軟にするため、もみ殻を堆肥として利用することなどが効果的となります。

一方火山灰土壌は、リン酸固定や肥料の保持能力向上のため客土や腐植の多い有機資材の投入が大切になります。

最近は燐酸や加里などの過剰施用畑が見られるので、あらかじめ土壌分析に基づいたバランスの良い施肥につとめ、無駄のない環境保全にも心がけた適正な施肥を行いましょう。

また、堆厩肥(牛糞、豚糞、鶏糞等の家畜糞堆肥)の施用を行い、足腰の強い地力ある土壌作りをしましょう。

2  種まき・育苗

(写真)

秋冬野菜は天気が低温、短日に向かうことから播種適期が狭くなります。作物の生育では春の1日は秋の3日に当たるともいわれています。播種適期を失わないよう注意しましょう。

また、育苗時期は高温・乾燥、そして長雨の時期に当たりますので、移植を必要とする野菜の育苗は、天候に左右されない育苗トレイなどを使用するとよいでしょう。

育苗期間は、ハスモンヨトウやハイマダラノメイガなどの病害虫が多発しやすい条件にありますので、寒冷紗被覆を行うなど耕種的な防除と農薬防除を有効に使うことが重要になります。

ダイコン・カブなどは、キスジノミハムシなどの被害を防ぐために登録のある粒剤を播種時に使用することが有効となります。

種子は、2年程度の寿命を持っていますが年内に使い切るため適量を購入したいものです。

野菜名 20ml当たりの粒数
ダイコン 700~1,000
ニンジン 3,500~5,000
ゴボウ 650~800
カブ 6,600~7,500
タマネギ 2,500~3,000
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白菜 3,500~5,000
キャベツ 3,000~5,000
レタス 7,000~11,500
ブロッコリー 2,500~3,500
ほうれん草 Mサイズ900 Lサイズ600
2,300~2,600
小松菜 3,500~5,000
ミズナ 5,000~8,000
ネギ 3,000~5,000

3  スーパーセル育苗

(写真)

セルトレイを利用した育苗は、育苗期間が30日程度と短いとされていました。しかし、徳島県や奈良県などの試験場が開発したスーパーセル苗と言う育苗技術が家庭菜園等で利用できますので紹介します。

○育苗できる作目;キャベツ、ブロッコリー

○育苗技術;セルトレイ育苗は通常の培土を使用し、播種や発芽管理は同様(写真参照)に行います。

○管理のポイント
底面灌水や灌水チューブを使って省力的に水のみを与えます。
やがて、一見観葉植物のように葉が肥大化して耐性化した植物体となります。耐性化した植物体は水のみで2年近く保存した事例が残っています。
苗の定植は通常と同様に行い、できた製品も良品が得られています。

4  主な秋野菜の播種(植付け)時期

作物名 播種時期 作物 播種時期
キャベツ 7月上~9月中旬 食用なばな 9月上~9月下旬
ブロッコリー 7月中~8月中旬 エンドウ 10月下~11月上旬
ハクサイ 8月中~9月上旬 ソラマメ 10月上~11月上旬
ネギ 9月中~10月上旬 イチゴ(仮植) 8月上~9月上旬
タマネギ 9月上~9月中旬 ダイコン 8月中~9月中旬
コマツナ 9月上~10月中旬 ニンジン 7月下~8月上旬
ホウレンソウ 9月中~10月中旬 カブ 7月下~10月下旬
チンゲンサイ 8月上~9月下旬 ゴボウ 9月中~10月上旬
シュンギク 8月上~9月中旬 ジャガイモ 8月下~9月上旬
レタス 8月上~10月中旬    

※播種や植付け適期は逃さないようにしましょう。

5  主要作物別の栽培ポイント

(資料は県農林総合研究センター園芸研究所作成資料より抜粋)

作物 栽培のポイント
キャベツ 年内どりは葉の柔らかい品種、冬どりは耐寒性品種を選ぶ。
肥大期に乾燥するとカルシウム欠乏が出やすいので注意。
ブロッコリー 極端な早まきを避け、高温に強い品種を選定する。
ハイマダラノメイガの防除は特に注意する。
ハクサイ 無仮植育苗で育苗日数35日前後の本葉5~6枚のやや若苗を定植。
ネギ 早まきはネギ坊主が出て生育が遅れるので注意。平床栽培は根曲がり少なく秀品率を高める。
タマネギ 早まきは抽苔するので適期に播種する。
コマツナ 寒冷紗やべた掛け資材のトンネル栽培で、コナガ等の被害を防ぐ。
ホウレンソウ 酸性土壌は好まない。土壌の酸度矯正(pH6.5~7.0)を行う。
早まきはウイルスに注意する。
チンゲンサイ 高温期の栽培には、節間伸長の少ない品種を選ぶ。
シュンギク 9月中旬播きまでは露地。以降10月下旬播きまではトンネル栽培。
レタス 高温期の播種は、低温で催芽処理してから播種する。
エンドウ 特に連作を嫌うので、同一ほ場では連作しない。
ソラマメ 直まき栽培も可能。4月上旬に株当たり8~10本に整枝。
イチゴ 良質な苗づくりと適期定植。うどんこ病や炭そ病の発生に注意する。
ダイコン ウイルス病の対策にはシルバーストライプマルチが有効である。
ニンジン 播種前の土壌水分を十分に確保してから行う。
カブ 播種後はべたがけ資材で被覆し、発芽・生育を均一化させる。キスジミノハムシの防除を行う。
ゴボウ 早播きは抽苔するので注意する。
ジャガイモ 生育期間が短いので、植え付けなどの適期作業を遵守する。
高温期なので種イモが腐敗しやすいことから傷や排水に注意。

6  病害虫・災害対策等

病害虫の防除は早期発見、早期防除が基本です。耕種的な方法として抵抗性品種の利用、病害発生を抑制するマルチ栽培、アブラムシを忌避するシルバーマルチや微小害虫対策としての防虫ネットの活用、そして、発生が予測される病害の予防散布や害虫の発生を確認したら、適正な農薬散布を行いましょう。

ポジティブリスト制度や短期暴露評価によって農薬の残留が厳しくなり、一部農薬では適用作物が削除されていますのでラベル表示に従って使用しましょう。また、周辺ほ場への飛散或いは後作と上の影響も考えて使いましょう。

また、近年は夏に猛暑が続き、作物へは高温・乾燥による、地上部や地下部への異常高温による発芽率の低下、定植時の活着不良、その後の生育不良、花芽形成の遅延、そして、潅水作業時間の大幅な増加や管理者の健康面への影響等、大きな問題となってきています。

しかし、最近では遮光や遮熱資材に優良なものが開発されてきております(下表に表示)。太陽光を遮ったり反射して、温度を下げ涼しくしたり、強い日射を防ぎます。これらの資材を適正な目的に添った使い方により、高品質なものが安定的に省力的に得られ、しかも作業者の健康を守ります。

7  防虫資材

防虫ネットなどの資材は、種類が多く目合いによって防げる害虫が異なることから害虫にあった目合いのネットを使用することが重要になります。細かい目合いのものは通気性が悪くなることが予想されますので注意が必要です。参考資料を添付しますので適切な資材選択の参考にしてください。

 

参考資料(防虫資材)