平成28年7月7日作成

水稲

(担当)JA全農さいたま 営農支援課


北埼玉の麦あと移植水田風景(28.7.6)

1 水稲の気象経過と生育状況

(1)気象経過

6月の平均気温は22.7℃で平年(21.7℃)に比べ4.6%高く推移しました。降水量は57.5mmで平年145.4mmの39.5%と半分以下の降水量でした。そのため日照時間は151.6時間と平年の125.5時間の121%と多く、水稲にとっては順調な生育となっています。

5~6月の平均気温・降水量(熊谷地方気象台)

月・旬 5月上旬 中旬 下旬 6月上旬 中旬 下旬
気温℃ 19.7 19.1 21.6 21.5 23.4 23.1
平年比% 114 107 111 103 108 103
降水量mm 17.5 24 9.5 57.5 14
平年比% 74 56 21 95 2.7
(2)生育状況

ア、早期栽培
 5月上旬植の水稲では(田植後60日前後)中干しも終了し、早い地域では幼穂形成期に入っています。

イ、早植栽培
 生育の初期から気温が高く、日照時間も多かったことから分げつが順調で、現在は中干し実施時期となっています。

ウ、普通期栽培
 田植後の気温、日照とも十分であり、有効茎数決定期~現在最高分げつ期に入っています。

2 今後の管理

(1)水管理

ア、早期栽培
高温による白未熟粒の発生を抑制するために、穂ばらみ期までは間断灌水を実施し、無効茎の抑制と根の活性の維持に努めます。

イ、早植栽培
移植後30日を目安に、有効茎は7日程度として、「小ヒビ」が入るくらいが最良です。有効茎を確保したほ場から中干しを実施します。生育状況を確認し、遅れないように注意しましょう。

ウ、普通栽培
移植後中生品種で25日頃、晩生品種で30日頃を目安に有効茎を確保したほ場から中干しを実施します。生育状況を確認し、遅れないように注意して中干しは7日程度として、「小ヒビ」が入るくらいが最良です。

エ、麦後栽培
分げつ始期~盛期の生育です。浅水管理で太いしっかりした分げつを確保しましょう。

(2)雑草防除(中期除草剤の利用)

雑草が多発したほ場では、草種に合せた除草剤(中期・後期剤)適期散布を行いましょう。

ア、ノビエの取り残し対策
 初期剤等で処理したにもかかわらず、何らかの要因でひえが発生してしまったら中期剤としてクリンチャー1キロ粒剤、ヒエクリーン1キロ粒剤やクリンチャーEWが効果があります。ノビの葉齢を確認し散布しましょう。

イ、広葉雑草ヤ多年生雑草発生対策(イネ科雑草含む)
 ヒエ類や広葉雑草の発生が見られたら、サンパンチ1キロ粒剤、ザーベックスSM1キロ粒剤、マメツトSM1キロ粒剤、クミメートSMやクリンチャーバスMEが有効でしょう。使用時期等を確認し使用して下さい。

ウ、広葉雑草、多年生雑草発生対策
 マツバイヤホタルイ、オモダカやクログワイ等の雑草が発生した水田では、バサグラン粒剤や液剤が効果的です。

エ、最近問題になっているクログワイ除草対策
 全農では初中期一発剤のエーワン、キチット、ゲットスター、ボデーガード、ゴウワンL、シリウスターボ等の初中期一発剤を処理した後、中期剤として、バサグラン粒・液剤による対策を提案しております。

※薬剤の使用に当たってはラベル等の取り扱い意説明書を確認してください。

(3)穂肥

ア、早期栽培
 生育診断結果に基づいて、コシヒカリでは出穂15~18日前、キヌヒカリ、彩のかがやき等では出穂20~22日前に穂肥の施用を行います。食味を低下させ、乳白粒を増加させるの原因になるのため、適期・適量施用します。

イ、早植栽培
生育診断結果から適期・適量施用を徹底します。普通期では早期栽培同様に8月上中旬の高温期の出穂から登熟前期を過ごします。このことから乳白米や腹白、背白、基白米などが発生し易い条件です。今年の8月は特に危険と言われていますので、しっかり穂肥を実施し高温障害を軽減させます。以下は埼玉県高温対策資料より転記しました。

穂肥[1]・・出穂前22~23日頃(幼穂長1~2mmに達した時期)に葉色を確認します。
葉色が4以下の場合は、窒素成分で10a当たり3kg限限度に追肥を行います。
葉色が4以上の場合は低下するまで施用時期を遅らせ、施用量を2kg程度に減します。もし出穂前10日になっても4以上の場合は追肥を行いません。

穂肥[2]・・出穂前10日頃に葉色を確認し、4以下の場合は2kg程度を追加施用します。
もし穂肥[1]施用時の葉色が著しく低い場合(3以下)は穂肥[2]の時期を早め、出穂前15日頃に葉色を確認し、4以下の場合は2kg程度を追加施用します。

ウ、普通栽培
生育診断結果から適期・適量施用を徹底します。普通期でも(2)の早植栽培同様に高温期の8月中下旬に出穂期を迎えます。7月下旬から末にしっかり穂肥を実施し乳白米などの発生を防いでください。以下は埼玉県高温対策資料より転記しました。

穂肥[1]・・出穂前25日頃(幼穂長0.5~1mmに達した時期)に葉色を確認します。
葉色が4以下の場合は窒素成分で10a当、たり3kgを限度に追肥を行います。
葉色が4以上の場合は低下するまで施用時期を遅らせ施用量を2kg程度に減らします。
もし出穂前10日になっても4以上の場合は追肥を行ないません。

穂肥[2]・・出穂前10日頃に葉色を確認し、4以下の場合は2kg程度を追加施用します。
もし、穂肥[1]施用時の葉色が著しく低い場合(3以下)は、穂肥[2]の時期を早め、出穂前15日頃に葉色を確 認し、4以下の場合は2kg程度を追加施用します。

※以下は埼玉県高温対策資料より転記しました。

5月20日 7月21日~7月22日 8月12日~8月14日 9月17日~9月30日
5月25日 7月23日~7月24日 8月14日~8月16日 9月21日~10月5日
6月1日 7月24日~7月25日 8月16日~8月18日 9月24日~10月10日
6月5日 7月25日~7月26日 8月18日~8月20日 9月29日~10月15日
6月10日 7月26日~7月27日 8月20日~8月21日 10月2日~10月18日
6月15日 7月28日~7月29日 8月22日~8月23日 10月5日~10月20日
6月20日 7月30日~7月31日 8月24日~8月25日 10月7日~10月22日

※出穂期は気象条件によって予定日から2日程度前後することがある。

※収穫期間のめやすは気象条件等によって1週間程度前後することがある。

(4)病害虫防除 (平成28年6月27日 埼玉県病害虫防除所発表情報)

ア、いもち病
本病害は、気温20~25℃で湿度の高い日が続くと発生します。 雨が多く日照不足の時や窒素過多によりイネが軟弱になると抵抗 力が弱められ感染し易くなります。昨年は、県内各地で発生がみられ、本年も多発が警戒されています。初期の病斑を見つけたら、薬剤で防除します。投げ込み式のパック剤を用いると、省力的に防除が行えます。なお、置き苗は本病の発生 源となるので、速やかに水田から持ち出し、埋めるなどして適切に処分してください。

いもち病の防除薬剤例(本田防除)

薬剤名 系統 FRACコード 使用時期 使用回数
フジワンパック ジチオラン類 6 葉いもちに対しては初発7~10日前
穂いもちに対しては出穂10~30日前
但し、収穫14日前まで
2
オリゼメートパック ベンゾイソチアゾール P2 収穫14日前まで 2

(使用基準は平成28年6月24日現在)

イ、イネアオムシ(フタオミコヤガ幼虫)  写真提供 : HP埼玉の農作物病害虫写真集

フタオビコヤガ(イネアオムシ)の防除薬剤例(本田防除)

薬剤名 系統 IRACコード 使用時期 使用回数
MR.ジョーカーEW ピレスロイド 3A 収穫14日前まで 2
スミチオン乳剤 有機リン 1B 収穫21日前まで 2

(使用基準は平成28年6月24日現在)

ウ、イネツトムシ(イチモンジセセリ幼虫)  写真提供 : HP埼玉の農作物病害虫写真集

イネツトムシの防除薬剤例(本田防除)

薬剤名 系統 IRACコード 使用時期 使用回数
ルーバン粒剤 ネライストキシン
類緑体
14 収穫14日前まで 4
スミチオン乳剤 有機リン 1B 収穫21日前まで 2

(使用基準は平成28年6月24日現在)

3 各地で取り組む省力・低コスト稲栽培の現況

大規模水稲経営では育苗に多くの資材費や労力がかかります。全農埼玉県本部では各農業機械メーカの協力を頂き、育苗の省略や育苗箱数を減らした稲作の導入について、各JAと共同し下写真の様にその実証を行っています。

7月上旬の生育は下写真のとおり極めて順調です。

JAくまがや乾田直播

左同 ヤンマー密苗 小麦後移植

JA埼玉中央イセキ疎植

左同 クボタ鉄コーテイング直播