平成28年3月7日作成

施設野菜における話題

(担当)JA全農さいたま 営農支援課

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今年は曇雨天と晴天が交互に繰り返す暖冬年となっています。このことから野菜ではベト病を中心とした病害の発生が懸念されています。ジャガイモなどの春野菜の播種や植え付が始まりますが、天候を見極めて植え付けや農薬散布などの管理作業を行うよう努めましょう。

ここでは、現在取組が行われている施設きゅうりのつる下し技術、天敵利用技術などについて紹介したいと思います。

1 きゅうりのつる下し栽培

施設きゅうりの整枝方法には、「摘心栽培法」と「つる下し法」があります。

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かつては、「摘心栽培法」が樹勢のコントロールを的確に行うことができることから収量も多く最良な整枝方法とされてきました。

しかし、近年「つる下し法」を実践する農家も増加しており、工夫によって収量性も向上したことから各共進会等においても優秀な成績を収める事例が多くなっています。

「つる下し法」と言っても従来行われていた「親づる」を下す方法と違い、「子づる」或いは「孫づる」を下げる方法を取ります。促成作型など側枝が発生し難い作型では「子づる」を越冬作型など側枝の発生が多い作型ではある時期から「孫づる」に変えつる下しをします。

具体的には、親づるは15~16節で摘心し、それぞれ子づるを出します。下から5節目までの子づるは、切除します。中段以降の4本の子づるはを摘心しないで放任とします。この放任した子づるを洗濯バサミの様なもので誘引紐に固定します。

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つるさげは、隣の芯の位置にずらす様に行いますので「つる」の下のほうは地上を這うような形になります。ビニペットを加工した「つる」を固定する装置を旧埼玉県園芸研究所で開発されています。

越冬作型などの側枝の伸びの良い作型では、「子づる」が6~10節程度に伸びたときに摘心を行い、そこから発生した「孫づる」に変えつる下しを行います。

放任枝の他の側枝は、1節摘心を行います。つる下しは7日おきに行ないます。

多くの農家や研究機関などの努力で収量性や品質が向上したことで、従来行われていた整枝法より技術が簡素化され、雇用による作業を可能としました。そこで、大規模きゅうり経営を行う農家に取り入れられているなどの事例が増えています。この技術の詳細については各農林振興センター等の指導機関に問い合わせることで指導いただけますのでご活用ください。

2 天敵「アカメ」の活用

生物に対する安全性ばかりか環境に対する影響までも検討される農薬の開発は、相当な困難を伴っています。そこで、新たな農薬の登録は今後少なくなると予想され、今ある農薬を大事に使用することが必要になっています。また、病害虫は相当な勢いで耐性を持つようになってきています。

これらの対応策として研究が進んでいるものは、耕種的な防除と天敵利用です。

今年秋の販売を目標に流通体制の整備等を進めていますので現在は、利用することができませんが新規登録された天敵「「アカメガシワクダアザミウマ」通称アカメについてその概要を記述します。

アカメガシワクダアザミウマは日本や周辺国に生息している捕食性のアザミウマです。製品としては本州産のものを使っています。

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写真の様な黒い体色をしており2mm程度の大きさです。幼虫は、赤い横縞があり特徴となっています。捕食する害虫は、アザミウマ類とダニやアブラムシです。捕食する害虫などがいない場合は、花粉を食して増殖が可能となっています。

捕食するアザミウマ類は、ヒラズハナアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、ミナミキイロアザミウマ、ネギアザミウマの幼虫を良く食べています。1令幼虫を1日に50~80匹捕食されると報告されています。また、天敵の中でも捕食限界温度が5℃、産卵限界温度が7℃付近にあり低温でも利用が可能となっています。そこで、イチゴにおいて効果的な天敵として利用できると考えています。

3 耕種的な病害虫防除

病害虫は、低温・高湿度で灰色かび病や各種細菌病等の病害、高温・乾燥の環境下ではアブラムシ、ハダニ、ウイルス病を伝搬するコナジラミやスリップス類等の害虫の発生が多くなります。病害では定期的な予防散布、害虫では早期発見・早期防除を心がけましょう。また、寒冷紗、防虫ネット、べたがけ資材の使用やイチゴに発生するハダニ類の天敵(ミヤコカブリダニなど)利用等は、安全・安心な農作物の提供につながります。防除の基本を守ることは、農薬使用量の軽減にもつながりますので、これを励行しましょう。なお、ポジティブリスト制度により、残留基準の決められていない食品についても、一律の基準(0.01ppm)が設定されましたので、くれぐれも農薬散布時には近隣農作物への飛散防止に注意しましょう。

露地栽培において防虫ネットは害虫被害を防止するうえで有効な手段となります。害虫の種類によってネットの目合いが違ってきますので表4を参考に使用しましょう。

表1.マルチの種類と機能について(全農推奨品)
(長さ:すべて200m)
銘柄 商品名 種類 厚み(mm) 幅(cm) 機能
三菱樹脂 クミアイマルチ 透明 有孔、無孔 0.02、0.03 75.95.120.135.他 保温
アグリ クミアイマルチ 銀ネズ 有孔 0.018 95.135 保温、虫害防止
ドリーム クミアイマルチ 有孔、無孔 0.02、0.03 95.120.135.他 雑草防止
  クミアイマルチ グリーン 有孔 0.02、0.03 95.120.135.他 雑草防止、保温

※ 保温効果:透明>グリーン>黒    雑草防止効果:黒>グリーン>透明

表2.トンネル用被覆資材について(全農推奨品)
(長さ:100m)
銘柄 商品名 種類 厚み(mm) 幅(cm) 機能
サンテーラ クリーンテート有孔換気 2号(2穴)、3号(3穴)
4号(4穴)
0.05、0.075 185.210 開閉作業の省力化
高温多湿障害防止

※ 材質:PO

表3.べたがけ用資材について(全農推奨品)
銘柄 商品名 種類 長さ(m) 幅(cm) 備考
岩谷マテリアル アイホッカ ♯18(不織布) 200 120.135.150.180.210.他 保温、防霜、防虫他
三菱樹脂 パオパオ90 R.Tの2種類(不織布) 200 120.150.180.210.他 保温、防霜、防虫他
アグリドリーム          
ダイオ化成 ベタロン 開口率45%、35%の2種類:(割布) 100 100.150.200.210.230 保温、防霜、防虫他

 ※ 光線透過率:パオパオ90・・・90%、ベタロン・・・91%、アイホッカ・・・90%

表4.防虫ネットの目合いと対象害虫
防虫ネット目合い 害虫の種類
2~4mm以下 オオタバコガ、ハイマダラノメイガ、モンシロチョウ、ヨトウガ類
1.0mm以下 コナガ、アオムシ、カブラハバチ
0.8mm以下 キスジミノハムシ、アブラムシ類
0.6mm以下 ハモグリバエ類
0.5mm以下 アザミウマ類
0.4mm以下 コナジラミ類