平成28年3月15日作成

麦赤かび病広域防除で安全・安心な高品質麦生産

(担当)JA全農さいたま 営農支援課

1 麦類の生育状況

(1)気象経過

麦類が播種された11月から平成28年3月上旬までは平年を大きく上回る平均気温で推移しました。また、11月から3月上旬までの降水量の合計は133.5mmであり、これは平年に比べ155%もの降雨量でした。

11月~3月上旬の平均気温・降水量(熊谷地方気象台)  単位 ℃、%

月・旬 11月 12月 1月 2月上旬 中旬 下旬 3月上旬
平年 11.2 6.3 4.0 4.1 4.8 5.4 6.5
H26~27 12.4 5.3 4.7 3.5 4.6 7.2 7.4
H27~28 13.2 8.3 4.8 4.5 7.0 6.4 9.1
H27~28
平年比%
118
降水量
200%
132

69
120

216
110

100
146

137
119

34
140

157
(2)麦類の生育状況

ア、ビール麦の生育
 ビール麦(11月7日播種)の3月14日(播種後128日)の生育状況は昨年の3月21日(同132日目)とほぼ同じ生育とみられます。茎数も十分確保されており栄養状況も(光の加減で淡く見えますが。)全般的に良好と思われます。
 止葉も抽出が進んでおり、昨年の3月21日の生育状況とほぼ同じ出葉となっています。幼穂長は前回2月5日の0.5~2mmから38日経過し、下写真の通り幼穂は5cmに成長しています。昨年の出穂期は4月2日でしたが、現状では昨年に比べ7日程進んでいる事から見て3月25日過ぎには出穂始めかと思われます。


28年3月14日(+128日)

27年3月21日(+132日)

28年3/14止葉状況  27年3/21止葉

28年3/14幼穂5cm   27年3/21幼穂5cm

イ、小麦の生育
 11月23日に播種された小麦は最高分げつ期とともに幼穂形成期になっています。同播種の3月15日での幼穂長は約3mm程度に成長しております。これは昨年産の3月21日での幼穂長とほぼ同じ幼穂長です。昨年の出穂期は4月18日でしたが、今後高い気温が続くと予想されますので大麦同様4月10日過ぎには出穂始めを迎えるほ場が多いと予想されます。


平成27年11/23播種(3/15 +113日)

平成26年11/20播種(3/21 +116日)

平成27年11/23播種(3/15 +113日)幼穂3mm

平成26年11/20播種(3/21 +116日)幼穂3mm

2 今後の管理

気象庁発表による、関東甲信地方の向こう1か月の天候の見通し(3/12~4/11)では気温は高く、降水量も多く、日照時間は平年並みか少ないと見通しています。

特に大麦類の出穂期に当たる第3~4週目ですが、気温が平年並みまたは高くなる確立が各40%となっております。高温多雨時期での出穂を考慮し下記に留意し適切な管理を実施してください

(1)小麦の追肥

子実タンパク質を適正範囲で確保するため、まだ追肥を行っていないほ場では幼穂形成期の今頃から4月上旬にかけて追肥を行ってください。追肥量は10a当たり「あやひかり」で窒素成分1.5kg~2.5kg位、「さとのそら」で同2.5kg~3.5kgを目安に行ってください。

(2)赤カビ病防除

出穂期が温暖で降雨が続いた場合、赤カビ病の発生が懸念されます。本年産の生育状況を把握し、下記[3]に基づき防除計画を立てておきましょう。

防除に当たっては近隣作物に付着しないように風向きや散布方法(ノズル等)を考えて防除を実施してください。
(今後の発生情報については埼玉県病害虫防除所の情報を参考にしてください。)

[1]罹病した大麦・小麦    HP埼玉の農作物病害虫写真集より

ビール麦の赤かび病
  コムギ赤かび病

空気伝染で飛来した胞子は穎の気孔などから侵入して小穂を侵します。ムギの穂に生ずる桃色のカビは、分生胞子の集団で降雨後分散して二次伝染します。病菌の生育適温は24~27℃で、胞子形成、発芽、宿主侵入には数日間、高い湿度が必要です。特に、胞子飛散は降雨によって促進されます。

[2]赤かびの毒性   嘔吐・下痢、出血、免疫毒性

毒素 は Deoxynivalenol(デオキシニバレノール) = 略してDON
毒素 1.1PPm以下   穀粒混入率  0.0%

[3]薬剤散布時期

麦類、特に大麦は毒性のある赤カビ病に感染し易い特性があります。ビール麦の防除時期は穂揃期の10日後を目安に、六条大麦では穂揃期に、小麦では出穂始めから7~10日後を目安に赤カビ病防除を必ず行ってください。小麦や六条大麦で第1回目の防除後も降雨が続いた場合は開花10日後に追加防除を行ってください。

(3)雑草防除

温暖で適度な降雨があったため、雑草の発生が見られます。ほ場の優先雑草にもよりますが、スズメノテッポウや広葉雑草ではヤエムグラが目立つほ場もあります。

写真の通りヤエムグラもやや成長していますが未だエコパートフロアブルの効果(~6節まで)がある個体もあります。散布は収穫前45日までですので注意して散布してください。

(4)排水路(溝)の整備作業・良品質麦生産のために

4月~6月にかけても引き続き降雨が多いと予想されます。雨水をスムーズに排水路に導水し、根腐れや立ち枯れ病・枯れ熟れの発生などによる登熟不良に成らないよう作業を行ってください。