平成27年12月10日作成

施設園芸

(担当)JA全農さいたま 営農支援課

施設園芸の省エネルギー対策について

施設園芸において冬季の暖房は不可欠なものとなっています。暖房の熱源は、A重油など化石燃料利用が一般的です。

化石燃料は、地球温暖化の一因と指摘されています。省エネ化を実現することは、環境への負荷を軽減させるとともに、コストを下げて、経営を安定させることにも繋がります。

そこで、省エネの基本技術を以下のとおりまとめましたので、栽培管理の参考にしてください。

1.施設・機器の整備

(1)ガラス温室、ビニールハウス等の気密性保持のための点検・整備を行います。

(2)内張の多層化(2~3層カーテン)を図ります。
資材としては、保温性の高い資材を選択することが効果的です。
効率については下記の表を参考にしてください。

カーテン等は気密性を高めるため破れやカーテンの合わせ目等の隙間を無くすことが大切になります。

(3)出入口部分にフイルムを張り、出入時の外からの冷気侵入を防ぐと効果的です。特に出入口に中間気候室を設置するとさらに効果的となります。

(4)暖房機の点検・整備、清掃により燃焼効率を高めます。
ボイラー燃焼室のスス掃除とともに缶体のスクリュープレートの汚れをワイヤブラシなどで落とすことが大切です。また、バーナーノズルの清掃と定期的な交換を行うことも省エネにつながります。

2.栽培管理上の注意

(1)ハウス内温度の均一化
 各作物ともに適正な温度設定に注意し、ハウス内の温度を均一化させるため、循環扇の設置や送風ダクトの適正配置を行います。暖房機の送風ファンを空回しするタイマーを取り付けることによって循環扇の役割を果たすことができます。
 循環扇等で施設内に空気の流れを起こすことは、作物の濡れを少なくすることから病害の発生を抑えることにもなります。

野菜の生育適温
種類 昼間適温 夜間適温 地温適温
  (℃) (℃) (℃)
キュウリ 25~28 10~15 18~20
トマト 25~28 8~13 15~18
ナス 25~28 13~18 18~20
イチゴ 18~25 7~10 15~18
ホウレンソウ 8~25 5~ 8 12~16
レタス 18~25 5~10 15~18
花きの冬期標準管理温度
種類 昼間気温 夜間気温 備考
  (℃) (℃)  
チュ-リップ 25以下 13~14 作型により異なる 夜間気温を下げる例あり
ユリ(アジアティック) 25以下 8~13 作型により異なる
ユリ(オリエンタル) 25以下 12~15  
ユリ(テッポウ) 25以下 12~14  
キク 25以下 14~18  
バラ 23~25 10~15  
アルストロメリア 25以下 5~10 作型・品種により異なる
宿根(カスミソウ) 22以下 8~10 草丈10㎝迄は夜間気温15℃
プリムラ(オブコニカ) 20以下 8~12  
プリムラ(ポリアンタ) 25以下 5~ 8  
プリムラ(マラコイデス) 20以下 10 12~1月出荷・春出しは夜間気温5℃
ペラルゴニウム 25以下 10~12  
シクラメン 25以下 10~12  
シネラリア(サイネリア ) 20以下 5~ 8  
ポインセチア 25以下 16  

(2)変夜温管理の徹底

日没から4~6時間の前夜半とそれ以降の後夜半で温度管理を密に行い、効率的な温度管理を進めます。

主な施設野菜の生育適温及び限界温度
種類 昼間気温(℃) 夜間気温(℃)
最高限界 適温 適温 最低限界
キュウリ 35 25~28 10~15
ナス 38 25~28 13~18
トマト 35 25~28 8~13
イチゴ 30 18~25 7~10

※多段サーモの設置は有効である。

(3)天敵利用の場合は温度管理に注意

生育温度より低い温度になると活動が弱くなるので注意が必要です。

農林水産省施設園芸省エネルギー生産管理マニュアル参照

降雪に対する農業施設の技術対策について

○ 2014年2月14日~15日の降雪は、熊谷で62cmの積雪を記録しました。多くの農業用施設の倒壊等の被害が出ました。その復旧には多くの時間が費やされました。そして毎年、2月以降は関東地方平野部でも大雪の可能性が高くなりますので注意が必要です。

○ 積雪に耐えうる補強は、台風などの被害も軽減しますので、取り組みが重要となります。

○ この大雪で被害を免れ施設も、歪みや損傷を受けていることが考えられ、今後、少ない積雪でも被害を受ける可能性もありますので、注意が必要です。

○ 降雪被害防止のポイントをまとめますので、参考にしてください。

○ 間口6m、パイプ径25.4mm、肉厚1.2mm、軒高1.7m、アーチスパン45cmの基準ハウスで積雪20cmまで耐えうるとされています。しかし下記のように条件が変われば、耐雪強度は変化してゆきますので、注意が必要です。
軒高は10cm高くなると耐雪強度は1㎏/㎡低下します。
アーチスパンは広くなると弱くなり、50cmにすると2㎏/㎡低下します。
パイプの太さは細くなれば減少します。口径19mmで60%減、22mmで35%減になります。
パイプの肉厚は0.8mmで30%減、1mmで15%減になります。

(日本施設園芸協会資料より引用)

○ 今回再建したハウスも強度面では大雪に耐えることができませんので、何らかの対策が必要になります。

1 パイプハウスの雪害防止対策

(1)パイプハウスは、骨材の関係等から少ない積雪でも被害を受けやすいものとなっています。特に連棟とした場合は、谷部に雪が堆積しやすく、被害をなお一層受けやすくなります。谷部にたまった融雪水を排除しやすく樋に傾斜を付けたり、乗って除雪できるよう補強することも大切です。

(2)栽培は始まってからでは、補強にも限度がありますが、筋交いを増設したり、ブレース、水平ばり、方杖等を設置して補強しましょう。台風被害が多い高知県などでは太いパイプで補強したハウスが増えつつあります。

(3)遮光や害虫侵入防止のために外部に張った寒冷紗等の資材は、雪が積もりやすくなりますので、早めに撤去しましょう。

(4)緊急的な補強として、パイプ、竹、ロープなどを使って中柱にしたり、ロープを使い屋根部の両肩部を水平ばりとすることにより、屋根の沈み込みを防ぎ雪滑を促すことができます。水平ばりはワイヤーを使い栽培作物を吊るす設備を兼ねることもできます。水平ばりの間隔は2m、中柱は3mくらいに設置します。

(5)補助暖房の利用も考えましょう。石油ストーブ、ガスコンロ、ローソクなどを設置して融雪を促進し、被害を軽減した事例が知られています。ただし、ハウス内は一酸化炭素濃度が高まりますので、入室時のガス中毒には受分注意が必要です。

(6)最終的にいろいろなことを実施しても、被害を受けてしまうような積雪が続く場合は、ハウスを守るために被覆資材を切って、雪をハウス内に落とすことを考えなければなりません。栽培作物はダメになりますが、ハウスさえ残れば、また営農を再開できます。昭和40年代に同様の大雪があった時、このような処置で残ったハウスがあったことは事実です。

写真は、方杖(逆V字型のパイプ)、筋交い、カーテン張りのワイヤーを使った水平ばり

2 作業時の注意事項

(1)作業の安全確保
 降雪や積雪の対策を行う場合は、作業者の安全確保が重要です。ハウスの屋根に積雪がある場合は、倒壊の恐れがあるため、施設内に入らないようにしましょう。特に耐用年数を過ぎたハウスは注意が必要です。

(2)その他の対策

  • 暖房機のあるハウスでは、暖房機の点検と燃油残量を確認し、燃料を満タンにしておくことが必要です。
  • ヒートポンプは室外機が雪に埋まると機能しなくなるため、雪に埋まらないよう対策しましょう。
  • 融雪水が施設内に入らないよう、排水溝を設置しましょう。
  • 加温設備のあるハウスでは、カーテンを開け、暖房機を運転してハウス内の暖気を拡散し融雪を促します。
  • 加温設備のないハウスでは、カーテンを開放し、地熱の放射により融雪を促します。
  • 雪が積もったら、すみやかに雪下ろしや除雪を行いましょう。
  • ハウスサイドの積雪が多くなると、屋根の雪とつながり、雪が落ちなくなるため、ハウスサイドの除雪を行いましょう。
  • 積雪が偏ると、荷重バランスが崩れ、倒壊の危険が増すため、ハウスの両側を均等に除雪しましょう。
  • 除雪の際には、電気配線や燃料の配管を傷つけないよう注意しましょう。
  • 散水による融雪は、降雪時は逆効果ですのでやめましょう。

(3)園芸施設共済の利用
 園芸施設は、農業共済組合によって共済制度が整っています。多くの自然災害や火災等に対応していますが、老朽化した施設や管理不十分の場合は、対象にならなかったり、補償金が減額されるなどの措置がとられるため、注意が必要です。
 補償期間は1年で、補償割合は50%から80%の範囲で選択できることになっています。掛け金は国が半分負担し、さらに税金控除の対象になっています。
 詳しくは、各農業共済組合へお問い合わせください。

(4)農業用ハウスのチェックリスト
 施設の点検は、確認場所が多いため、チェックリストを利用することをお薦めします。
 降雪前の点検として、下記のチェックリストを利用してください。