平成27年3月3日作成

麦類 これからでも間に合う高品質麦生産

(担当)JA全農さいたま 技術参与 福田和明

2月28日の水田裏作麦(さとのそら)

本年1~2月の気温はほぼ平年並みに経過しました。また定期的な降雨があり下層土は適度な土壌水分が保たれ、麦類は上の写真のとおり順調な生育となっています。

気象庁による関東甲信地方の3月予報では、気温では平年並みから高い確率が40%ずつ、降水量も平年並みから多い確率が40%ずつ、日照時間は少ないが50%の確立と1か月予報を発表しています。このことから茎立期、幼穂形成期とも平年並みからやや早くなることが予想されます。そのため追肥やその他作業が遅れないように準備すると共に、今後の管理にあたっては以下のことに留意し、実需者の要望する高品質麦の生産確保を行いましょう。

1 今後の生育予測

3月週別の気温の確立は1週目は平年並みが50%、2週目は平年並み~高い確率が40%ずつ、3~4週目は平年並みが30%、高いが40%の確立と予報されています。このため大麦類・小麦とも出穂が早まると思われます。ビール麦、彩の星の平年の出穂期は4月6日、小麦さとのそらの平年の出穂期は4月17日ですがですが、ビール大麦では3月末から4月初旬、小麦さとのそらでは4月10日頃からと推測されます。(埼玉県水田研究所情報による(11月10日播種))

2 今後の管理

(1)追肥

[1]ビール大麦、六条大麦
 葉色が極端に落ちたビール麦や26年産麦でタンパク含有量の過多や不足等の指摘があったほ場では、その指示に従ってください。追肥する場合、肥料は硫安やNK化成など溶解・吸収が速やかな肥料を用いましょう。施肥量は10a当たり2kg程度のチッソ追肥を行い適正タンパク含有量を確保しましょう。

[2]小麦
 葉色が極端に落ちた小麦や26年産麦でタンパク含有量の過多や不足等の指摘があったほ場では、その指示に従ってください。追肥する場合、肥料は硫安やNK化成など溶解・吸収が速やかな肥料を用いましょう。小麦さとのそらについては出穂2週間前の3月下旬の追肥、またトラクタ+ブロードキャスター等による追肥では小麦の損傷を少なくするために茎立前の3月上旬までに10a当たり3~4kgのチッソ追肥を行ってください。(11月10日播種で茎立は3月5日頃を推定)

(2)登熟を高める排水対策

麦類は湿害に極めて弱い作物です。降雨後水が田畑に停滞しないよう明渠は必ず設置しましょう。また排水口や暗渠の状況を確認しスムーズな水の流れを確認し、粒張の良い麦の生産に努力しましょう。


ほ場中央に水路を設置

明渠は配水管に接続
(3)赤かび病の防除

[1]罹病した大麦・小麦    HP埼玉の農作物病害虫写真集より

ビール麦の赤かび病
  コムギ赤かび病

 空気伝染で飛来した胞子は穎の気孔などから侵入して小穂を侵します。ムギの穂に生ずる桃色のカビは、分生胞子の集団で降雨後分散して二次伝染します。病菌の生育適温は24~27℃で、胞子形成、発芽、宿主侵入には数日間、高い湿度が必要です。特に、胞子飛散は降雨によって促進されます。

[2]赤かびの毒性   嘔吐・下痢、出血、免疫毒性
毒素 は Deoxynivalenol(デオキシニバレノール) = 略してDON
毒素 1.1PPm以下   穀粒混入率  0.0%

[3]薬剤散布時期
 麦類、特に大麦は毒性のある赤カビ病に感染し易い特性があります。ビール麦の防除時期は穂揃期の10日後を目安に、六条大麦では穂揃期に、小麦では出穂始めから7~10日後を目安に赤カビ病防除を必ず行ってください。小麦や六条大麦で第1回目の防除後も降雨が続いた場合は開花10日後に追加防除を行ってください。