平成26年3月11日作成

春野菜栽培のポイント

(担当)JA全農さいたま 営農支援課 技術参与 鈴木 栄一

(写真)

今年は曇雨天が多く続いています。このことから施設野菜では病害虫の発生が懸念されています。また、露地でも圃場が乾かないことから、ジャガイモなどの春野菜の播種や植え付が遅れています。天候を見極めて農薬散布などの病害虫防除のための管理作業を行うよう努めましょう。薬剤散布は、作目が軟弱に育っていることから薬害に注意が必要です。施設では暖房機を使って薬剤を早く乾くように努めてください。露地では圃場に排水路等を整備して適期に播種等が行えるよう圃場環境を整えましょう。

葉菜類・果菜類の多くは温床等で育苗することになります。気象変動の激しい寒期でもありますので育苗施設は電熱線等を使った施設が欲しいものです。3月以降では直播することもできますのでトンネル被覆等をうまく使って発芽を促進しましょう。畑に葉菜類を直播きする場合は、早めに、完熟堆肥や油かす、化成肥料や苦土石灰等のアルカリ改良資材を施しておき、適期・適作に徹します。春先の定植は暖かい日を選び浅植えを行い、株元が少し乾く程度に植え付けます。降雨時や直後の植え付けは活着を遅らせるので注意が必要です。また、使用する苗は適期のものが良いのですがキャベツなどでは相当老化した苗(スーパーセル苗と言い100日苗以上でも可能です。苗の管理は灌水のみで良く、窒素飢餓状態で肥厚化した葉になってしまいますが定植すると元に戻ります。)でも栽培が可能との研究が進んでいます。

1.土壌消毒

土壌病害の発生を少なくし、合わせて雑草の発生を抑制するために土壌消毒を実施したいものです。土壌消毒はガス燻蒸剤によって実施しますが低地温期に当たることから効果が劣る場合があります。地温に注意して実施することが重要です。地温は15℃以上を必要としており3月上旬以降がこの時期に当たります。

ダゾメット粉粒剤、キルパー、NCS、ディ・トラペックスが除草剤登録もされ有効な剤型であると思います。消毒効果を上げるためにも被覆資材は必ず実施しましょう。

土壌消毒後に堆肥や石灰質資材の投入を行い、土壌中の微生物環境を整えることが大切になります。特に石灰質資材は、土壌消毒前に施用すると薬害を助長するので消毒後に施用することがポイントになります。

2.育苗床

寒冷期の育苗には温床育苗が必要で電熱線の利用や踏込温床で温度を確保します。ここでは温床線のはり方と古い技術ですが踏込温床等も参考までに記述します。

(写真)

踏込温床は、藁や落葉などを腐らせた時に発生する熱を利用し、保温するものです。
藁束で枠を作り、この中に稲わらを適当に切ったものと鶏糞など(藁120kgに対し鶏糞15kg、こぬか10kg)を交互に積み、水を与えて踏込をします。50cm以上に堆積させて発酵熱を得ます。発酵当初は有害なガスなども発生することから温度が十分に上がったのち播種等に利用することになります。鶏糞やこぬかを加えるのは発酵のために窒素分が必要なためで、資材によって窒素の添加率は異なっています。炭素率(C/N率)を30程度に調整することが良いとされています。水分は70%程度が良いとされています。

電熱線を床の中に1㎡あたり80~100wを配線し、サーモスタットによって制御 します。

(写真)

最近では温床線が組み込まれたマット(農電園芸マット)がありこれを利用することが多くなっています。

3.病害虫

病害虫は、低温・高湿度で灰色かび病や各種細菌病等の病害、高温・乾燥の環境下ではアブラムシ、ハダニ、ウイルス病を伝搬するコナジラミやスリップス類等の害虫の発生が多くなります。病害では定期的な予防散布、害虫では早期発見・早期防除を心がけましょう。また、寒冷紗、防虫ネット、べたがけ資材の使用やイチゴに発生するハダニ類の天敵(ミヤコカブリダニなど)利用等は、安全・安心な農作物の提供につながります。防除の基本を守ることは、農薬使用量の軽減にもつながりますので、これを励行しましょう。なお、ポジティブリスト制度により、残留基準の決められていない食品についても、一律の基準(0.01ppm)が設定されましたので、くれぐれも農薬散布時には近隣農作物への飛散防止に注意しましょう。

露地栽培において防虫ネットは害虫被害を防止するうえで有効な手段となります。害虫の種類によってネットの目合いが違ってきますので表4を参考に使用しましょう。

表1.マルチの種類と機能について(全農推奨品)
(長さ:すべて200m)
銘柄 商品名 種類 厚み(mm) 幅(cm) 機能
三菱樹脂 クミアイマルチ 透明 有孔、無孔 0.02、0.03 75.95.120.135.他 保温
アグリ クミアイマルチ 銀ネズ 有孔 0.018 95.135 保温、虫害防止
ドリーム クミアイマルチ 有孔、無孔 0.02、0.03 95.120.135.他 雑草防止
  クミアイマルチ グリーン 有孔 0.02、0.03 95.120.135.他 雑草防止、保温

※ 保温効果:透明>グリーン>黒    雑草防止効果:黒>グリーン>透明

表2.トンネル用被覆資材について(全農推奨品)
(長さ:100m)
銘柄 商品名 種類 厚み(mm) 幅(cm) 機能
サンテーラ クリーンテート有孔換気 2号(2穴)、3号(3穴)
4号(4穴)
0.05、0.075 185.210 開閉作業の省力化
高温多湿障害防止

※ 材質:PO

表3.べたがけ用資材について(全農推奨品)
銘柄 商品名 種類 長さ(m) 幅(cm) 備考
岩谷マテリアル アイホッカ ♯18(不織布) 200 120.135.150.180.210.他 保温、防霜、防虫他
三菱樹脂 パオパオ90 R.Tの2種類(不織布) 200 120.150.180.210.他 保温、防霜、防虫他
アグリドリーム          
ダイオ化成 ベタロン 開口率45%、35%の2種類:(割布) 100 100.150.200.210.230 保温、防霜、防虫他

 ※ 光線透過率:パオパオ90・・・90%、ベタロン・・・91%、アイホッカ・・・90%

表4.防虫ネットの目合いと対象害虫
防虫ネット目合い 害虫の種類
2~4mm以下 オオタバコガ、ハイマダラノメイガ、モンシロチョウ、ヨトウガ類
1.0mm以下 コナガ、アオムシ、カブラハバチ
0.8mm以下 キスジミノハムシ、アブラムシ類
0.6mm以下 ハモグリバエ類
0.5mm以下 アザミウマ類
0.4mm以下 コナジラミ類

4.定植の方法

定植床つくりは、長期間の栽培に耐えられるよう土壌のPHや各養分を適正に保有するよう管理しなければなりません。

ナスやトマトなど果菜類は、長期間栽培が行なわれることから特に土づくり等の作業を入念に行う必要がありあります。定植時には地温を確保するためマルチ等を実施します。

除草目的の場合は濃いグリーンあるいは黒を地温確保の場合は透明を使用します。

葉菜類は、ベット幅90~120cm、通路30cm程度、高さは10cm程度で管理のしやすい幅とします。

保温や害虫被害回避のためポリや防虫ネット等でトンネルを実施する場合は弓資材などの幅に合わせ、施肥は化学肥料の施用過剰から肥料濃度障害が起こることが多いので追肥を主体に行なう適正施肥を推進したいと思っています。

(写真)

5.災害対策

(写真)

春は突然の降雪、降雹、寒波、霜及び突風などの気象災害が多発する時期です。降雪対策としては気象予報に注意し、降雪が予想される場合はハウスの補修・補強や支柱立て、降雪時には雪下ろしと同時にハウス内温度を高め、屋根の融雪を促進してハウスの損壊を防ぎます。トンネル栽培ではトンネルの弓の補強を行い、降雪後は早めに除雪を行い、排水対策を講じて融けた雪による湿害を防止しましょう。

寒波や降霜に対しては、被覆やべたがけ資材を活用して保温対策を講じましょう。突風による被害は特にトンネル栽培で被害が多いので、換気後のトンネル管理は、気象条件に合わせこまめに行うことが大切です。