平成27年2月19日作成

降雪に対する農業施設の技術対策について

(担当)JA全農さいたま 営農支援課 技術参与 鈴木 栄一

○ 昨年2月の降雪は、観測史上最高の積雪となり、我が県をはじめ多くの県で農業用施設の倒壊等の被害を発生しました。そして毎年、2月以降は関東地方でも大雪の可能性が高くなることから注意が必要となります。

○ 昨年被害を免れた施設も歪や損傷を受けていることから少ない積雪でも被害を受ける可能性が高まっています。そこで埼玉県農林部農業支援課がまとめた降雪被害防止のための技術ポイントを記述しますので防災の参考にしてください。

○ パイプハウスの積雪強度は20kg/㎡となっていますので約20cmの積雪に耐えるとされています。これは、間口6m、パイプ径25.4mm、軒高1.7m、アーチスパン45cmの基準ハウスですから条件が変われば耐雪強度は変化してきます。軒高は10cm高くなると耐雪強度は1Kg/㎡低下します。アーチスパンは50cmにすると2kg/㎡低下します。アーチパイプの口径では19mmが60%減、22mmが35%減となります。また、パイプの肉厚は0.8mmで30%減、1mmで15%減となります。(詳しく知りたいならば日本施設園芸協会HPで平成26年2月の大雪被害における施設園芸の被害要因と対策を参考にしてください。)

1 パイプハウスの雪害防止対策

(1)パイプハウスは、骨材の関係等から少ない積雪でも被害を受けやすいものとなっています。特に連棟とした場合は谷部に雪が堆積しやすく被害をなお一層受けやすくなってしまいます。谷部に溜まった融雪水を排除しやすいよう樋に傾斜を付けたり、乗って除雪できるよう補強することも大切になります。

(2)栽培が始まってからでは補強にも限度がありますが筋交いを増設したり、ブレース、水平ばり、方杖等設置して補強することを実施しましょう。

(3)遮光や害虫侵入防止のために外部に張った寒冷紗等の資材は、雪が積もりやすくなりますので早めに除去するようにしましょう。

(4)緊急的な補強としては、パイプ、竹、ロープなどを使って支柱(中柱)にしたり、ロープを使い屋根部の両肩部を水平ばりとすることによって屋根の沈み込みを防ぐため、雪滑を促すことができます。水平ばりはワイヤーを使い栽培作物を吊るす設備を兼ねることもできます。水平ばりの間隔は2m、中柱は3mぐらいに設置します。

(5)補助暖房の利用も考えましょう。石油ストーブ、ガスコンロ、ローソクなどを設置することで融雪を促進し、被害を軽減できることが事例として知られています。ただし、ハウス内では一酸化炭素濃度が高まりますので入室時のガス中毒には注意が必要になります。

(6)最終的にいろいろなことを実施しても被害を受けてしまう程度に積雪が続いた場合は、ハウスを守るために被覆資材を切って雪をハウス内に落とすことを考えなければなりません。栽培中の作物はダメになりますがすぐに再開できるようになります。昭和40年代に同様な被害がありましたが、このような処置をして残ったハウスがあったことは事実です。

写真は、方杖(逆V字型のパイプ)、筋交い、カーテン張りのワイヤーを使った水平ばり

2 作業時の注意事項

(1)作業の安全確保
降雪や積雪の対策を行う場合は、作業者の安全確保が重要です。
ハウスの屋根に積雪がある場合には、倒壊の恐れがあるため、施設内に入らないようにしましょう。特に、耐用年数を過ぎたハウスは入らないようにしましょう。

(2)その他の対策

  • 暖房機のあるハウスでは、暖房機の点検と燃油残量を確認し、燃料を満タンにしておくことが必要です。
  • ヒートポンプは室外機が雪に埋まると機能しなくなるため、雪に埋まらないよう対策しましょう。
  • 融雪水が施設内に入らないよう、排水溝を設置しましょう。
  • 加温設備のあるハウスでは、カーテンを開け、暖房機を運転してハウス内の暖気を拡散し、融雪します。
  • 加温設備のないハウスでは、カーテンを開放し、地熱の放射により、融雪を促進します。
  • 雪が積もったら、速やかに雪下ろしや除雪を行いましょう。
  • ハウスサイドの積雪が多くなると、屋根の雪とつながり、雪が落ちなくなるため、ハウスサイドの除雪を行いましょう。
  • 積雪が偏ると、荷重バランスが崩れ、倒壊の危険が増すため、ハウスの両側を均等に除雪しましょう。
  • 除雪の際には、電気配線や燃料の配管を傷つけないよう注意します。
  • 散水による融雪は降雪時は逆効果ですのでやめましょう。

(3)降雪前の点検ポイント
施設の点検は、確認場所が多いため下記のようなチェックリストを利用することをお勧めします。

(4)園芸施設共済の利用
園芸施設は、農業共済組合によって共済制度が整っています。
多くの自然災害や火災等に対応していますが老朽化した施設や管理不十分の場合は対象にならなかったり補償金が減額されるなどの措置がこのなわれるため注意が必要です。
補償期間は1年で補償割合は50%~80%の範囲で選択できることとなっています。
掛け金は国が半分負担し、税金控除の対象となっています。
詳しくは、各農業共済組合へお問い合わせください。

(参照:日本施設園芸協会ホームページより)