平成26年10月28日作成

平成27年産麦栽培に当たって基本の徹底を!
-麦高品質・高位安定収量の確保を-

(担当)JA全農さいたま 営農支援課 技術参与 福田 和明

平成26年産埼玉県4麦の作付面積と収穫量は6,000ha(26年6,030ha)、22,000t(26年24,400t)でした。前年の作付面積対比99.5%、同収穫量対比90%と言う結果でした。これは本年2月の2度にわたる大雪の影響が大いに影響したものと考えられます。

また、埼玉県水田研究所によれば本年の小麦「さとのそら」の穂数は平年の71%、収量は93%、同じく二条大麦(ビール麦)「彩の星」は88%、94%であったと報告されています。

実際の栽培現場では水田での融雪までの期間や田畑の乾き具合により適期追肥が実施できなかった等、作業上の問題も要因としてあげられます。本年の作付けにあたっては排水路の整備、見直しをしっかり行い、麦の収量及び高品質が確保できるよう基本を徹底しましょう。


しっかりした排水路(明渠)の設置で湿害回避

1.麦の作業組み立て

畑作物の作業の要点は、土壌改良資材投入ー耕耘ー整地ー施肥ー播種ー鎮圧ー除草剤散布の作業を一つのユニットとして、作業可能期間内に終了させることです。理由は耕耘や整地後降雨に合うと土がぬかるみ、未耕起田に比べ田が乾くのに長時間かかり作業が大幅に遅れる心配があるためです。

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石灰資材散布作業   
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耕起・整地   
 
施肥・播種・除草剤散布同時作業

適期播種のためには天気予報により作業可能期間を推測し、その日数で一つのユニットが完了できる面積を把握しましょう。耕起していなければ降雨後も比較的早くトラクタ作業が行えますので、降雨による播種遅れを最小限に止めることが出来ます。

2.土壌診断と改良資材の施用

麦類は下表のようにほぼ中性を好みます。特に、大麦は酸性に最も弱い作物です。酸性土壌は出芽苗立ちはもちろん、その後の生育に大きな影響を与えます。耕起前に土壌PHの測定を行い、適正な土壌にしましょう。

写真のような簡易で携帯型の測定器具が市販されています。これらを利用しほ場毎に調査し改良資材の投入量を決めましょう。

3.排水対策の徹底による苗立と収量・高品質確保

排水対策が麦作りの最大のポイントです。水稲など前作物の収穫後、できるだけ早くほ場の周囲と内部に排水溝を掘削し、ほ場外の排水路に連結してほ場の乾燥を進めましょう。

次に、弾丸暗渠機を用いて、本暗渠と直交するように2~3mの間隔で、30cm程度の深さに弾丸暗渠を施工しましょう。畑や固定転換畑ではサブソイラーによる心土破砕も大きな効果が得られます。

播種後に再度、ほ場の周囲と内部に5~10m間隔で排水溝を施工し、ほ場外の排水路と確実に連結して、湿害防止に努めます。

4.種子消毒

種子伝染病害防除のため種子は必ず消毒しましょう。消毒方法は簡単で素早くできる種子粉衣をお勧めします。用意する物は種子と薬剤「ベンレートT水和剤」や「ホーマイ」等の種子消毒剤、それにシートです。先ずシートを広げ、種子(1袋30kg)をシートの上に置きます、次いで前記いずれかの薬剤を150g(種子量の0.5%を粉衣)ふりかけ、角スコップなどで良く混和させて種子消毒は終了です。対象病害は「なまぐさ黒穂病」「裸黒穂病」「斑葉病」です。ベンレートT水和剤はその他「条斑病」に効果があります。

5.基準量の基肥を確実に施用

上記は麦種別の施肥例です。大麦では元肥の窒素量は7kg/10a前後、小麦「さとのそら」は分げつが取れやすい品種ですので基本的には元肥の窒素量は7kg/10a前後ですが、土壌条件によっては元肥の窒素量は8kg/10aに設定している地域もあります。地元JAで確認してください。

各麦種とも追肥体系により収量、品質を高める施肥体系を取っています。極端な元肥過多にならないようにしましょう。追肥体系の省力化のため緩行性肥料による施肥も推進しています。銘柄としては「省力さとのそら(16-121-12)」や「さとのそら専用1号(22-10-10)」により春先の追肥を兼ねた元肥施用が可能です。

6.播種量

小麦の播種を例にしますと、播種量は㎡当たり200粒を基本にしています。「あやひかり」の種子千粒重はおおよそ37g~38gですので10aに換算すると7.4kg~7.6kg/10aとなります。これを基に早い時期の播種は分げつ確保が容易なので播種量は6kg/10aほどに、遅い播種では8kg/10aにより分げつ数(穂数)を確保します。

7.雑草防除

11月上中旬の播種では適度な土壌湿度や気温が高い日も多く、麦類の出芽には好適条件となっていますが雑草の発芽にも好適といえます。そのため播種後出芽前までに土壌処理剤を必ず散布しましょう。また麦の生育期間は長く春先には再び雑草の発生が見られますので、生育期処理剤との体系処理も考慮した雑草防除計画をたてましょう。

除草体系例

(1)播種前雑草発生田畑

除草剤の利用に当たっては薬ボトルのラベルを確認してから使用してください。

(カラスムギ発生畑では早めに耕起しカラスムギを発芽させ[1]を散布し発生密度を下げるなどの方法も良いでしょう。但し近隣作物へのドリフトに十二分に注意しましょう)

[1]ラウンドアップマックスハイロード の散布

[2]次いで 土壌処理剤として ボクサーやキックボクサー細粒剤
トレファノサイド乳・粒剤等の散布

[3]2~3月に雑草の発生が多の場合草種に応じて生育期処理剤の散布

(2)水稲後等で雑草発生が少ない田もしくは畑

[1]土壌処理剤として ボクサーやキックボクサー細粒剤
トレファノサイド乳・粒剤等の散布

[2]2~3月に雑草の発生が多の場合草種に応じて生育期処理剤の散布

(3)雑草発生が比較的少ない田・畑では

[1]土壌処理剤として ボクサーやキックボクサー細粒剤
トレファノサイド乳・粒剤等の散布

◎この資料に記載している農薬情報は、その内容を保証するものではありません。農薬の使用に当っては、ラベルの記載内容を必ず守って使用してください。剤の使用回数、成分毎の総使用回数、使用量および希釈倍数は使用の都度確認してください。使用方法、注意事項についても確認してください。